今月のワニレポ(今月の一冊から)

2018年10月25日 (木)

Vol.234『スタッフの存在価値を最大化する秘訣とは?』

トウガラシは辛いです。プリンにのせても合いません。トウガラシは、スイーツ業界では嫌悪されるでしょう。「君の辛さは一体なんだよ!グラニュー糖を見ろよ、大活躍だろう!」というふうに。違うのです。トウガラシはスイーツには合いませんし、お菓子の世界でいい仕事はできないかもしれません。その代わり、和食の世界にいけばどうでしょう。

蕎麦やうどんにかけたら最高です。適材適所なのです。

人間は、単体で評価されるものではありません。そもそも、人に助けられることを前提に作られています。私はワンオペレーション反対派です。「ワンオペ育児」という、親が1人で育児を担う状態を指す言葉が広まっていますが、育児や家事を1人でこなす状況は異常だと考えたほうがいい。いつだって、人は人に力を借りるべし。

人間が、それぞれ微妙にスペックを変えて単体を存在させているのはなぜか。

協力させるためです。協力したときにこそ、力が発揮されます。

大切なのは、自分はどういう起用のされ方をすれば最も活躍できるか。

それを自覚することなのです。

(『天才の証明
中田敦彦 著
日経BP 138-139頁より引用)

わたしは長年、コンサルタントとして個人プレーの仕事をしてきました。
そして、近年は日本キャッシュフローコーチ協会の運営という、チームプレーの比重が急速に高まっていて、その中でわたし自身が実践の中で鍛えられていることが1つあります。
それは、「その人の存在価値の最大化をいかにするか?」の目利き力です。

協会の仲間と共に、様々な企画を各種プロジェクトを立ち上げたり、全国の各地に会員主催型で100人超の強化研修会を行ったり、後楽園ホールを貸切で4百人規模のMVPコンテストを開催するうちに、「どうすれば人は最大限に輝けるのか」を考える機会がものすごく増えました。つまり、どのような人にどんな役割を与えれば最大限に輝くのかです。

と同時に、逆の目線でこれからわたしがやりたいことがあります。それは、協会メンバー自身から、「自分はどのように活用されたいか」を自己申告してもらうことです。
自分の存在価値を最大化するのは、どんなシチュエーションで、どんな役割を担うことか?
それを一人ひとりが自覚して、能動的に発信できたとしたら、組織運営は今よりもっとスムーズに活性化するのではないか。もっとも、自分のことは自分ではなかなか客観視しにくいものです。なので、現実には周りの仲間に自分の強みや特徴を客観的にフィードバックしてもらう作業は必要でしょう。そのプロセスを通して、意思疎通を図ることにもなります。

そして、その発想は一般企業にも応用できるのではないか。そう考えると、協会活動を通して実践していることは、すべてコンサルティングの現場に応用できることばかりです。


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2018年9月25日 (火)

Vol.233『モチベーションが自然と湧き出す秘訣とは?』

人間という存在の本質は、自分ではない誰か、自分ではない何かとのつながりによって生きる力を得ているところにあります。自分を待っている何か(仕事)、自分を待っている誰かとのつながりを意識した人は、けっしてみずからの生命を断つことはない、とフランクルは言います。フランクルの言葉を少し引きます。

「各個人がもっている、他人によってとりかえられ得ない性質、かけがえないということは、-意識されれば-人間が彼の生活や生き続けることにおいて担っている責任の大きさを明らかにするものなのである。待っている仕事、あるいは待っている愛する人間、に対してもっている責任を意識した人間は、彼の生命を放棄することが決してできないのである。
(『夜と霧』みすず書房186-187頁)

フランクルが求めているものは、「自分の欲望や願望中心の生き方」から、「人生からの呼びかけに応えていく生き方」「意味と使命中心の生き方」への転換です。こうした生き方の転換によってはじめて、私たちは生きる意味を実感しながら生きることができるとフランクルは考えたのです。

(『NHK100分de名著 フランクル 夜と霧
諸富祥彦 著
NHK出版 P.54より引用)

フランクルの「夜と霧」は随分昔に読んだのですが、最近それを解説した本書を読んで、改めて「モチベーションが自然と湧き出す秘訣」を再認識しました。
それは、「自分を必要とする人やコトの存在」を自覚すること。

わたしの場合、「自分を必要とする人」として、家族や友人、クライアント、塾生や協会メンバーなどが思い当たります。なので、彼らから相談されたり、頼られたり、協力している時に、エネルギーが湧き出てきます。また、「自分を必要とするコト」として、コンサルティングや養成塾、協会活動、執筆、講演やセミナーなどがあります。

とりわけ、例えば「これからこんな講座をつくって、◯◯で困っている人たちの力になってあげよう」というように、これからやることの内容と意味が明確になればなるほどに、ワクワクして、やはりエネルギーが湧き出します。つまり、その心の状態こそが、「モチベーションが自然と湧き出ている」姿なのだと思います。

それを、受身的な捉え方で終わらずに、能動的な視点に置き換えることで、使命感を持ってやるミッションや、仲間を巻き込むビジョンが浮かび上がっていくのでしょう。

もし今、やりたいことが漠然としてモヤモヤしているなら、「自分を必要とする人は誰か?コトは何か?」を探してみると、突破口が見つかるかも。

そしてそれは、意外と足元にあるかも知れません。


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2018年8月25日 (土)

Vol.232『奥の深い、立体的な教え方とは?』

私が先に「教えるはすなわち学ぶことである」と言っても、諸君らの多くは、小さな小学校の子どもたちを教えるのに、それほど深く学ぶ必要はあるまいと思うことでしょう。ところが実際に当たってみますと、単に教科書の表面に現れている程度の事柄を教えるだけでも、相当に深い学識を必要とするのであって、このことはやがて諸君らが、教生として教壇に立たれれば、すぐに分かることであります。大の男が、わずか1時間の授業をするのに、3時間、4時間もその準備をしていって、なおかつ授業がしどろもどろになって、汗だくになることによっても分かりましょう。このように、単に教科の内容を教えることだけでも、実に容易ならざる準備と研究とを要するわけですが、さらに眼を転じて、教育の眼目である相手の魂に火をつけて、その全人格を導くということになれば、私達は教師の道が、実に果てしないことに思い至らしめられるのであります。

<中略>

そこで、ではわれわれとして、それに対して一体どうしたらよいか、ということが問題でしょうが、私としては、それに対処し得る道はただ一つあるのみであって、それは何かと言うと、人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬということであります。

(『修身教授録
森信三 著
致知出版 P.35より引用)

養成塾の講師として日々学ぶことがたくさんあります。先日、塾生から質問を受けました。 「和仁さんの教え方は、とてもわかりやすくて、どこから質問しても明快な答えが返ってきます。わたしもセミナー講師をやる機会が今後増える予定なので質問したいのですが、そのようにわかりやすく教える秘訣は何ですか?」

わたしの教え方が上手かどうかは別として、わたしがセミナーや養成塾で「人に教える」経験をする中で、意識していることが1つあります。それは、「実体験から得た気づきややり方を教える」ことです。つまり、人から聞きかじっただけで自分の体験が入っていないことは外し、実際に体験したことを起点に、「そこにどんな気づきや教訓、ノウハウがあるか」を掘り下げて、ストーリーに乗せて伝えるようにしています。

実体験を起点に教えると、話がわかりやすくて、質問にも明快に答えられる。それは、なぜなのでしょうか? それは、本や雑誌、人から聞いた話よりも、体験談の方が情報量が多いからです。2次元(平面)ではなく3次元(立体)です。つまり、2次元の紙なら少し掘ったらすぐに破れて底が見えますが、3次元の立方体なら、掘っても中身が詰まっていて、底が見えない感じに似ています。体験しているから、臨場感のあるリアルで聞き手の共感を得る話ができる。そして、それだけ膨大な情報量が背景にあるので、別の角度から掘り下げれば、必要な情報を引き出すことができる。これをルールにしておくと、教える機会が多いほどに、実体験の機会が必然的に増えます。その結果、教える程に学び、成長できるのでしょう。今後も大いに学び、それを世の中に還元していきたいと思います。


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2018年7月25日 (水)

Vol.231『新たな価値を生む秘訣とは?』

アマゾンは、ECというカテゴリーに収まることなく、レジなし店舗「Amazon Go」やスマートロックで不在時の宅内配送を可能にする「Amazon Key」といったサービスを開始している。「身体の詳細なサイズデータを企業に提供する」「自宅のカギを信頼できる業者が開けられるようにする」こうした利便性は、これまでなら心理的なハードルが高く、なかなか受け入れられなかっただろう。

しかし、テクノロジーによってセキュリティを高め、不正をすればそのエコシステムから排除されるレビューやレーティングシステムが機能することによって、こうしたサービスは一気に心理的、物理的な距離を詰めてくる。これまで常識と思っていたことを人々があっさり捨てたとき、そこにビジネスのフロンティアが生まれる。それを可能にするのは、「今までにない新しいサービス」「自分も使いたい」「こういうのを待っていた」と一瞬で理解させるコンセプトと最小限のメッセージ。そして、「これすげー!」とボタンを押させる熱気だ。

(『熱狂顧客戦略
髙橋遼 著
翔泳社 P.Xより引用)

今、技術の進化によって、様々な新サービスや商品が生まれていますよね。

スマホやタブレット端末、ネット通話サービスのzoom、google翻訳もしかり。これらIT技術が進化したことで、わたしたちの仕事のスタイルは激変しました。場所を問わず遠隔での仕事が当たり前になり、自分で発信媒体を持って自己表現するチャンスが増えたり、外国語の資料を調べる抵抗感が減って情報収集の範囲が広がったり、と。

そしてそれはすべてビジネスを発展させるチャンスになります。かつては「地理的制約が仕事の範囲を決める」という【前提】がありましたが、それが崩れたことで仕事の範囲が広がったわけです。

このことは、「技術の進化を観察し先読みして、【前提】を疑うことの大切さ」を教えてくれています。この、【前提】を疑う大切さは、新たな価値を生む秘訣だと感じます。

例えばコンサルタント業で言えば、かつては「経営コンサルタントは、50代以上のベテランが、豊富な経験をもとに教える仕事」という認識でした。それは「その情報に価値がある」という【前提】があったからであり、「教える先生」というスタンスが当たり前でした。

それが、顧客が情報を持つ情報化社会では、「教える」ことに無理がある。その結果、「盲点に気づかせるパートナー」というスタンスに価値観がシフトするわけです。これは、「答えが簡単に入手できる時代、そもそも”人から上から目線で教えられたくない”社長たちは『教える』先生型コンサルタントは求めない」という【前提】を立てた時に気がつきました。

他にも、「影響力を高めたければ、コンサルタントを社員採用して会社を大きくするしかない」という【前提】を疑うと、新たな市場を創造して同志として協業できる道が開けます。

過去の前提にしばられない自由な【前提】を今後も立てていきたいと思います。


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2018年6月25日 (月)

Vol.230『顧客がなんて言って紹介しているか、に注目する。』

あなたの周りには必ず類友(強いつながりの人)がいる。あなたの価値観の変化によって年々入れ替わっていくが、必ずいる。彼ら彼女らは同類だから話もしやすいし趣味も合う。

だからその言葉には耳を傾ける。類友の体験や意見は、自分にとって役に立つ確率がとても高いからだ。だから、ある商品を類友が「自分の言葉」で(言わされたのではない本音の言葉で)褒めていたら、まったく関心ない商品だとしても「へー、それ良さそうかも」と心を動かされる。自分が顧客になると思っていなかった商品でも、ちょっと気になっていたけど手を伸ばさなかった商品でも、すっとその存在が心に入ってくる。

ボクも、当時の類友がワンピース歌舞伎を「自分の言葉」で激賞していたから、行くつもりもまったくなかったのに「あいつがそこまで言うならさぞかしすごいんだろう」と素直にチケットを購入した。歌舞伎に限らず、身の回りを見渡してみると、自分の判断で買った商品より類友の推奨で買った商品のほうが多いくらいである。そのくらいこの時代に「自分で合う商品」に出会う確率は下がっている。そもそも情報が多すぎて届かない上に、選べないほど商品も多く、わけがわからないからである。その意味において、価値観が近い類友は、テレビやネットを凌ぐ最強メディアと言ってもいいし、類友の実体験による「自分の言葉」はこの過酷な情報環境において、超貴重な情報源なのである。

(『ファンベース —支持され、愛され、長く売れ続けるために
佐藤尚之 著
ちくま新書 P.74より引用)

自分の商品やサービスを、「顧客が知人になんて言って紹介しているか」知っていますか?
わたしは独立当初、思いがけないシーンに遭遇しました。それは、わたしのコンサルティングのクライアントが、知人の経営者にわたしを紹介してくださったときのことです。

そもそも、一緒に同伴して「和仁のコンサルを受けたほうがいい」と言っていただけること自体、本当にありがたいことです。そしてわたしは、そのときのクライアントがわたしのコンサルティングを何て言って紹介するのか、に注目していました。

何しろ当時は、「キャッシュフロー経営」と言っても、「大企業の企業価値を高めるための手法」みたいなイメージだったし、「コンサルタントって、現場を知らない癖に、上から目線で物を言ってくる人でしょ?」と、毛嫌いする社長も少なくない時代でした。
それでクライアントの紹介は単純明快でした。

「和仁さんに聞かれて、やりたいことをしゃべると、カタチにしてくれるんです」

もう、思わず唸っちゃいました。こうして10数年経っても思い出せるくらい、インパクトがあった出来事でした。今一度、顧客の言葉に注目してみると、きっと発見がありますよ。


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2018年5月25日 (金)

Vol.229『ゲームのルールが変化していないか?』

かつて日本は、それまでの考え方にとらわれていたために世界に太刀打ちできず敗者となる、という苦い経験をしています。日本は大平洋戦争時に、史上最大級の戦艦大和と武蔵を造りました。「モノづくりの力」にこだわり、磨き上げ、日本が持つ技術力を結集して莫大な労力と費用をかけて、世界に類を見ない巨大な戦艦を造ったのです。当時すでに、航空母艦や戦闘機、爆撃機など、航空戦力が勝敗の鍵を握る時代になっていたにもかかわらず、日本の造船会社は高度な技術を持っていたため、それまでの延長線上で”いいモノ”を造ったのですが、その結果はご存知の通りです。

実際、大和も武蔵も素晴らしい戦艦でしたが、米国の航空母艦と戦闘・爆撃機に徹底的にやられて、大和は表舞台に出る前に、武蔵はフィリピンまで到達してあえなく沈没してしまいました。何を言いたいのかというと、今の日本企業もいつまでも20世紀の発想、やり方にとらわれ、それを磨いていくことだけに気をとられていると、かつての大和や武蔵のように簡単に撃沈されてしまうだろう、ということです。

(『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全
大前研一 著
KADOKAWA P.10より引用)

まじめにコツコツと自社の強みに磨きをかける。それ自体はビジネスの発展において大切なことですが、その一方で同等以上に重要なのが、「環境の変化」に適応することです。

本書で取り上げられているようなことは戦争だけでなく、例えば「インターネットの普及」という環境の変化に乗って、ビジネスシーンにおいていくつも顕在化しています。

そして、この「環境の変化」の流れは今後も通信回線の進化やAIの普及、人口減少などによって、さらに加速していくのでしょう。それは今後10~20年のコンサル・ビジネスも同様です。たとえば、

  • 訪問型ではなく、携帯端末越しのネット面談による、場所の制約を受けないセッションがスタンダード化。
  • さらに同時翻訳の進化により、マーケットが国境を超えることが普通の光景に。
  • DVD教材の販売形式は消え、定額の会員制オンライン受講形式へ移行。
  • 多能工化が進み、お笑いやスポーツ界など異分野からのコンサル・ビジネス参入が加速。

他にも多々ありますが、このように環境が変化すると、ゲームのルールは確実に変わります。コンサル・ビジネスで言えば、今までのような「なんとなく、相性が合うから」みたいな漠然とした理由では顧客に選ばれなくなり、より一層「コンサルタント自身の価値の言語化・可視化、および表現力」が重要になるでしょう。そして、自身や世の中の動きを俯瞰で捉える力や、それをサポートするプロデューサー的な役割もさらに必要となっていくと思います。目の前のことに没頭し過ぎて、この環境の変化を見落とすことがないよう、一定のゆとりを持つようにしたい。そんな気持ちが強い今日この頃です。


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2018年4月25日 (水)

Vol.228『資質と環境でパフォーマンスが決まる。』

遺伝学の最近の研究では、「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、増強装置概念に近い説が導入されつつある。心理学者が差次感受性仮説(感受性差次仮説)と呼ぶもので、問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりえるという考え方だ。一本のナイフで人も刺せれば、家族の食事も作れる。それと同じで、遺伝子の良し悪しも状況次第で変わるという考え方だ。

もっと具体的に話そう。たとえば大多数の人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4-7Rを持つ。これは、ADHD、アルコール依存症、暴力性と関連がある悪い遺伝子とされている。

しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に行った実験では、別の可能性が示された。クナフォは、どちらの遺伝子の子どもが、自分から進んでほかの子とキャンディを分け合うかを調査した。通常三歳児は、必要に迫られなければお菓子を諦めたりしない。ところが、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは、なんと7R遺伝子を持つ子たちだったのだ。

(『残酷すぎる成功法則
エリック・パーカー 著
飛鳥新社 P.32より引用)

人の能力の良し悪しは、本来は画一的には決まるものではなく、その置かれている環境やタイミングなどによって、コロコロ変わるものだと思います。

最近のわたしの関心事の1つがこれで、「この資質を持つ人は、どんな環境に身をおけば最大限のパフォーマンスを発揮するのか?」という問いです。 かつて、こんなことがありました。

あるアットホームな雰囲気の製造業の会社に、独特な個性を持ち、異彩を放つ伊藤さん(仮名)という社員がいました。かつて小さいながらも会社を経営していたが倒産。その後、その会社に社員として入社した彼は、職場でのダメ出しが多くて、周りに煙たがられてしまいます。「それじゃダメだ!」「もっとこうすべきじゃないか」と改善案を思いついては、すぐに口に出すのですが、言い方がキツくて、特に女性スタッフから不満が噴出。

このような扱いにくい社員をクビにする会社も世の中にはありますが、そこの社長は違いました。伊藤さんの言っている中身は間違っていない。ただ、言い方がキツくて、周りにストレスを与えている点が問題でした。そこで、彼の配属を中国人が多い部署に移します。すると、日本語がよくわからない中国人スタッフにとっては、淡々としゃべる人よりも、表情や声のトーンで緊迫感が伝わる伊藤さんの表現の方がわかりやすい、ということで、仕事がスムーズに行ったのです。資質と環境でパフォーマンスが変わることを実感しました。


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2018年3月25日 (日)

Vol.227『自立性を促す理由とは?』

ビュートゾルフは、「患者がどうしたいのか?」を真剣に考えている。目的は、患者ができるだけ自分の面倒を自分で見られるようにすることだ。

<中略>

ビュートゾルフは、できる限り自分たちが実質的に「余計な存在になれる」よう努力している。「自分の使命を果たす」という職業(Vocation)の本来の意味がここに取り戻される。

<中略>

成果はめざましいものだった。同社が一顧客あたりに必要とした介護の時間はほかの介護組織よりも40%近く少ないことが、2009年にアーンスト・アンド・ヤングが実施した調査で明らかになった。

<中略>

ほかの組織の患者に比べると、ビュートゾルフの患者たちが介護を受ける時間はわずか半分でありながら、病気から早く治り、しっかりと自立するのだ。

(『ティール組織
フレデリック・ラルー 著
英治出版 P.108より引用)

自立性を促すと、その組織の利益は増える。そのことを、わたしは「答えを教えない」パートナー型コンサルティングをクライアントに提供する中で強く実感しています。

独立当時は、「コンサルタントは答えを教える存在でしょ?教えないって意味がわからない」なんて言われたりしました。ところが、今ではこのやり方の方が成果も出るし、コンサル報酬も高くなることがわたし以外の仲間たちも証明してくれています。

わたしがコンサルでやっていることは、「答えを教える」のではなく、質問や事例ストーリーを投げかけて「盲点に気づかせながら自ら考え続ける状況をつくる」こと。すると、縦軸には、1人では到達し得ない深さまで考え抜く力が、横軸には幅広い視点で物事を多面的にとらえる着眼点が身につく。その力が身につけば、コンサルタントと会う月に1日だけじゃなく、残りの29日にもその力は発揮されるので、クライアントの成果は最大化します。

では、「自立性を促すと、コンサルタントは必要なくなるのか?」と言うとそうでもないようです。なぜなら、月に1日の面談では、コンサルタントが壁打ちの壁役になることで、さらに1人では到達し得ない縦軸と横軸に考えをめぐらせることができて、さらなる高みを目指せる楽しさがあるからではないかと考えています。これからも、クライアントのみなさんに「会うのが楽しみだ」と思っていただけるよう、精進していきます。


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2018年2月25日 (日)

Vol.226『地位財と非地位財のバランスは?』

現在は絶版になっていますが、「目からウロコの幸福学」で紹介されていたのが、ロバート・フランクの「地位財」「非地位財」という考え方でした。

<中略>

●地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。
(例:所得、社会的地位、車、家など)

●非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。
(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

フランクは、人がなぜ地位財を追求するかについて、「環境適応をめぐる進化の賜物だ」と説明しています(「目からウロコの幸福学」ダニエル・ネトル著)。われわれの祖先が子孫を残せるかどうかは絶対的な価値である「健康」ではなく、相対的な価値の「地位」に左右されてきました。つまり、自分にそれほど体力がなくても他者がそれより劣れば、食料も配偶者も得られるわけです。

(『幸せとお金の経済学
ロバート・H・フランク 著
フォレスト出版 P.5より引用)

この本を読んで、わたしは気がつきました。世の中の大半の人は「地位財」にフォーカスしている、と。そして本書のとびらに書かれていた「無意識のうちに参戦している不毛な競争的消費から脱出しないかぎり、私たちは誰一人幸せになれない」という1文は、とても言い得た表現だとも感じました。「地位財」重視な人と、「非地位財」重視な人の割合は、何対何くらいなのでしょうか?統計データはないので、あくまでわたしの感覚的な印象ですが、

●「地位財」重視な人:「非地位財」重視な人=9:1

くらい、圧倒的な割合で「地位財」重視な人が多い感じがします。

わたしのクライアントの1人に、「見栄と体裁にとらわれず、生活費における固定費を安易に増やさないようにしよう」と社員や仲間に呼びかける社長がいますが、彼は「非地位財」重視タイプでしょう。ところが、周りにいる人たちは「地位財」重視の人の方が圧倒的に多く、ストレスを感じているようにも見えます。わたしの印象としては、自分のやりたいことや、到達したいビジョンがハッキリしている人は、「非地位財」重視。そして彼らは、「どう見られるか起点」ではなく「やりたいこと起点」で必要なものを買うので、劣等感や優越感から解放されています。そしてお金の使い方も、納得した上で使うので、「後で後悔する買い物」はあまりないようです。

このような、お金の使い方と心理のつながりはとても興味深いテーマなので、引き続き探求していきたいと思います。


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2018年1月25日 (木)

Vol.225『リーダーが身軽になり、仕事の流れが早くなる方法。』

「チーフの皆さんへ。私への報告に関する新しい方針を決めたいと思います。これはほかのすべてのことより優先されています。お客様を喜ばせること。100ドル(8300円)以内で解決する問題ならば、あなたが判断し、解決すること。これは正式な許可であり、また、コストが100ドル以下で済むすべての問題は、私に報告しないで解決するようにという要求であります。私はあなた方の顧客ではありません。私に許可を求めることはありません。あなた方が正しいと思ったことをやってください。問題があったら、やりながら直していきましょう。ありがとう。 ティム」

<中略>

最初の月は、おそらく、細かく管理した場合よりも200ドル以上余計にかかったと思われる。その一方で、1か月で私は自分の時間を100時間以上節約でき、顧客はより早いサービスを受けられ、返品は3%以下になり(この業界の平均返品率は10~15%)、窓口担当者が私への説明に使う時間もかなり減った。そうしたすべてのことが、急速な成長、高収益、関係者全員の幸福をもたらした。人はあなたが思うよりも賢いものだ。

(『週4時間だけ働く
ティモシー・フェリス 著
青志社 P.169より引用)

個人で動くのではなく、チームで動くときに、意思決定の流れをデザインしておくことはとても重要です。トップの1人が判断してGOサインを出すまで、スタッフが待ち状態になっていると、当然スピードは下がるし、トップの負担は増える一方。1日が24時間に限られている以上、やがて限界が来ます。とは言え、社長からただ言葉で「自分で判断して決めなさい」と言われても、社員はどこまでをそうしていいのかわからず、結局は何も変わらない。その点、冒頭のように「金額を明示」して、「それがどんな意味や価値をもたらすのか」を言語化して伝えることで、ずいぶん動きやすくなるでしょう。

わたしにとっては、1年がかりで準備する日本キャッシュフローコーチ協会のMVPコンテストが、これに当てはまります。数十人の優秀なメンバーが関わってくれているのに、トップが逐一指示を出すシステムでは、あまりにもったいない。さすがに、初めて開催した2016年や、場所を後楽園ホールという大会場で初めて行った2017年など、「やってみて初めてわかることばかり」な最初のうちは力技でやらざるを得ないときもあるでしょう。

しかし、次の3回目はいよいよ力技から脱却して、「再現性のあるイベント」に昇華させるタイミング。だからこそ、先日は「各担当者がどんな工夫や実践をしたか」を紙にまとめて発表したプレゼンを動画収録した、マニュアル策定ミーティングも行いました。

そして、わたしは彼らの発表を聞いて、その能力の高さと情熱を再認識しました。そして、次の3回目はプレイングマネージャー的社長の立ち位置を実行委員長に譲り、自身は会社でいうところのオーナーに移行することを決意しました。2018年、「役割」と「決定権の範囲」を具体化して、新たな挑戦に臨みます。応援、よろしくお願いします!


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