今月のワニレポ(今月の一冊から)

2025年5月25日 (日)

Vol.313『人生100年、長寿化時代に自社がもたらす価値を考える。』

事例1 クライアントの「100年人生」をプランニングするメリルリンチ

金融サービス業は、長寿化のビジネスチャンスに最初期に気づいた業界の1つだ。
ユーザーが長生きするようになり、延びた寿命分の生活を支える資産が必要となったためだ。残念なことだが、50歳以上の過半数が「老後の生活を支える資金が足りない」と回答している。こうした経済的不安は大きな国民的課題であり、今後、大きな財政課題にならないよう、国民に行動の変化を呼びかける必要がある。業界としても、クライアントが長寿に備える意識を持つようになれば、優先順位の判断や資産通用のニーズが生まれ、事業成長の強い牽引力となるだろう。

 

(『超長寿化時代の市場地図
スーザン・ウィルナー・ゴールデン 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン 96頁より引用)

人生100年時代になると、60歳を超えてなお10年、20年と社会で活躍する人が増えていくでしょう。と言うことは「セカンドキャリアに入った人」向けと「それを見据える人」向けに「自社がどんなサービスを提供できるのか」を考え、準備することが重要です。そこで、わたしも「キャッシュフローコーチ・メソッドがどのように彼らに価値提供できるか」を考えてみました。みなさんが考える際のヒントになれば幸いです。

1つの案は「言語化力トレーニング」です。我々は言葉や数字、図解などを使って、クライアントの思考整理をしています。その際にカギとなるのが「言語化力」です。つまり、コンサルタントや経営者、リーダー向けに、当たり前のように発揮してきた「言語化力」が、これからセカンドキャリアを迎える広い層にとって価値をもたらすと予想しています。特に、蓄積した経験値を価値あるものとして世の中に発揮するには、それを言語化することが必要です。例えば、「その人がいるとなぜか職場の雰囲気が良くなる効果」を発揮している人が、その価値を言語化できなければそのまま忘れ去られてしまうでしょう。一方で、それが「場づくり力の高さ」と言語化できれば、周りがその価値に気づきやすくなります。さらには「職場が活性化する場づくり力の極意10箇条」を言語化できれば、それを教わりたい人や、職場に伝えたいリーダーが見つかるかも知れません。

このように、キャッシュフローコーチの育成において肝となる「言語化力」は、今後ますます重要度を増すと考えています。なぜなら、様々な経験を積んだ人が、その経験値や専門性の価値をアピールしたり、後任者に継承するときに、言葉で伝える力が必須だからです。
いくら素晴らしい技術や知見があっても、それを人に伝授する力がないのは大きな機会損失です。それは、彼らが言葉に落とし込む作業を避けてきたからではないでしょうか。
そのあたりに「言語化力トレーニング」の可能性を感じて、注目している今日この頃です。

 

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2025年4月25日 (金)

Vol.312『個別の打ち手をつなげて独自のストーリーをつくる。』

<前略>

以上見てきたように、ワークマンの業績やヒット商品の背後には、さまざまな競合他社との違いがある。より肝心なこととして、商品企画から店舗で消費者が買うところまで、そうした違いが「なぜ」でつながっている。

つながりとは「因果関係についての論理」に他ならない。プロ向けの商品だから長期継続販売ができる。長期継続販売だからこを値引きに依存しないタントツ商品が開発でき、大量生産によるコストダウンが可能になる。ダントツ商品だからこそ高精度での需要予測をはじめとするデータ経営が活きる。データ経営だから加盟店のオペレーションを軽くできる。だから無理なく店舗の拡張ができる。

以上は一例に過ぎない。ワークマンの戦略には数多くの因果論理でしっかりとつながったストーリーが流れている。表層にある商品や店舗は見える。見えるものであれば模倣できる。しかし、深層にある戦略ストーリー、とりわけ個別の打ち手をストーリーへとつなげていく論理はなかなか見えない。見えないものは真似できない。競争優位が持続するという成り行きだ。ワークマンの事例は、優れた戦略ストーリーの神髄を見せてくれる。

 

(『戦略と経営についての論考
楠木建 著
日本経済新聞出版 55頁より引用)

本書では、ワークマンが競合他社との違いをつくり、他社が模倣できない優れた戦略ストーリーの本質について記されています。AIなどが身近になり、さまざまなものが溢れ、便利になっている今の時代、そして、これからの時代は、顧客に選ばれる『独自性』だと感じます。そして、定期的に自社の独自性を整理することは、強みを伸ばして顧客に選ばれる理由を強化します。

長年ビジネスをしていると、いつの間にか「慣れ」が出る。それが「マンネリ」を生み、いつの間にか魅力を損ねてしまいかねません。それを打破するのは、「ビジョンの再設定」であり、「そこに至る独自のストーリーの構築」だと思います。

本書のワークマンの事例をヒントに、わたしも自社(日本キャッシュフローコーチ協会)の個別の打ち手をつなげたストーリーを整理してみました。言語化してみると、さらに改善点が見えてきますが、ひとまず書き出してみることがはじめの一歩として大切だと感じます。これをヒントに、みなさんもトライしてみていただけたら幸いです。

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キャッシュフローコーチ(CFコーチ)は、「社長の社外幹部として、会社経営の柱となるお金とコミュニケーションを最適化して、ビジョン実現をサポートする」存在です。

環境変化が激しく正解の見えない多様性の近年、国も「伴走支援」を推奨することから、その価値の大きさは実証済み。だからこそ、正解を「教える」のではなく「気づかせる」やり方は時代にも顧客である社長のニーズにも合っている(上から目線で教えられたくはない)。だからこそ、CFコーチは全力で価値を出し切ってもネタ切れに悩むことはなく、関与が長くなりやすい。関与が長くなると経営基盤は安定するので、目の前のクライアントの成果に集中できる。クライアントが長年様々な経験を経て成長する傍に常にいることで、クライアント数と経験年数に比例してCFコーチの引き出しが増える。

そんなCFコーチが、「安心安全ポジティブな場づくり」の価値観と「相互支援の文化」のあるコミュニティに800人以上所属して、お互いの経験値を惜しみなく共有している。
その規模とキャリアを伸ばしながら、国内外に影響力を発揮することで、金融機関や商工会議所等の公的機関がCFコーチとつながりを持ち始めている。

そのブランドを育み、メソッドの有用性を高めていく取り組みを、(個人がバラバラと)“点”ではなく協会が“面”で行う。すると、CFコーチが1人では扱えないレベルのプロジェクトにも参画でき、さらにやりがいが高まる。その結果、CFコーチの質と認知が高まり、持続的な発展を遂げることができる。

そんなストーリーをこれまでも、そしてこれからも構築していきます。

 

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2025年3月25日 (火)

Vol.311『苦手なことを克服するコツ。”苦手克服筋”を鍛える!』

私たちの周りには、「努力をせずに成功する方法や、生活が便利で楽になる商品」の広告があふれていますが、それらは必ずしもあなたを幸せにしてくれるわけではありません。
むしろ「苦痛を逃れて楽に生きたい」は、幸福からは遠ざかる選択であることも多いのです。私たちは、なるべく少ない労力で楽をしたいと考えますが、実際には、これまで払ってきたコスト(時間・労力・お金)の総量が、幸福感を高める傾向があります。これを、心理学では「努力のパラドクス」といいます。タイパ重視、コスパ重視の選択は、最初は幸福感を高めてくれますが、それが日常になってしまうと、快楽順応によって幸福を感じにくくなってしまいます。

<中略>

また、近年では「レジリエンス」という言葉が世間でも注目されるようになっています。困難や脅威に直面しても、しなやかに乗り越える精神的な回復力を表す言葉です。なんらかの逆境によって生物が強くなる現象は「ホルミシス」と呼ばれます。人間の例で最も分かりやすいのは、運動です。運動によって身体に負荷がかかり、一時的にはストレスホルモンなどの有害な物質が生成されますが、長い目で見れば、人をより健康にします。

 

(『あっという間に人は死ぬから
佐藤 舞 著
KADOKAWA 116頁より引用)

わたしは昔から「面倒くさいことはお金で解決してラクしたがる」ところがありました。
例えば、手続き用の書類の記入が苦手で、できる限り専門家に任せる。「得意な仕事でお金を得て、苦手なことはそのお金を支払ってお願いすれば、お互い良いじゃないか」「物々交換だ」という感覚です。そんな中、わたしも50代となり、仕事もある程度の成果を出せるようになると、これまで苦手なことを避けて通ってきたことが気になるようになりました。

例えば、「書類の作成などは専門家に任せて、自分が得意なことに集中した方が、労力対効果が高い」と言い訳はできます。その一方で、そのような発想を続けた結果、苦手なことを避けたがる気持ちが強くなっていることに気づきました。それは今後年齢を重ねるにつれて、さらに増していくのではないか。そんなことを考えていたある日、今までだったら妻にお願いしていたであろう、ある保険の請求手続きを、自分でやってみることにしました。
説明書を読んだだけで嫌になるほど面倒くさい作業ですが「”苦手克服筋”を鍛える!」という意味を自分に与えることで、まず心構えを前向きにしました。そして「今すぐ15分!」の行動指針に基づいてタイマーで計った15分で、作業の全体像をつかみました。
そこで、「何を取り寄せ、何を自分で書けば良いか」を把握。およその必要時間をつかめたことで過剰に膨らんでいた苦手意識を圧縮できました。
そしてその書類作成業務を、「この日の16時から1時間」と決めてスケジュール手帳に書き込み、それに従って行ったところ、実際に1時間以内で完了しました。日常の仕事や生活の中に乗り越えたい課題を見つけた時は、「”苦手克服筋”を鍛える!」と意識してやってみる。そうやって、筋トレのつもりで、苦手なことを一つひとつ克服していきたいと思います。

 

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2025年2月25日 (火)

Vol.310『日々を充実させる鍵は、“時間に限りがある”ことの実感。』

時間をうまく使いこなすために理解しておくべき重要な考え方は、収穫逓減の法則である。つまり、多ければよいとはかぎらないということだ。

何かをたくさんするとしても、それが人生にもたらす価値は、ある一定以上を超えると、それ以上増えなくなる。たとえば、テレビを4時間にわたって見続けたとしよう。1時間と比べて4時間ずっとテレビを見続けることで得られる楽しみはどれくらいだろうか?楽しみは4倍に増えるだろうか?2倍に増えるだろうか?同じ量だろうか?

どの時点で収穫逓減の法則が働くだろうか?その答えはわからないが、おそらく4時間よりもずっと短いはずだ。もしそうなら、テレビを見るのは1時間だけにして、残りの3時間は別のことをしたほうがいい。

 

(『後悔しない時間の使い方
ティボ・ムリス 著
ディスカヴァー 89頁より引用)

海外旅行は、日頃の時間の使い方について、気づきを与えてくれることがあります。
仕事が立て込む日々が続く中、通常の8割程度の仕事量に抑えたことがありました。
それまでは毎晩遅くまで打ち合わせや執筆、デスクワークが埋まっていて、圧迫感を感じていたからです。「このままでは、目先の仕事をこなすことにフォーカスして、長期的な展開を考える時間が取れない!」という危機感からの試みでした。

ところが、いざの計画を実行したところ、身体と神経を休ませることはできましたが、動画をダラダラ見る時間が増え、うまく気分転換ができませんでした。本来なら、空いた時間でウクレレの練習をしたり、長期スパンのビジョンを描いたり、普段行ったことがないところに行ってみたり、新しい刺激を得ることに時間を使いたいと考えていたのに、、、。

なぜ、事前の想定通りの、有意義な時間の使い方ができなかったのでしょうか?
それは「時間に限りがあることを自覚できていなかったから」です。

一方で先日、海外に1週間滞在した時は違いました。事前に行きたい場所やお店、美術館などを調べ、またどのような時間の使い方をするかをイメージし、「アクティブに動く時間」と「受け身でダラ〜っとする時間」をリズムよく組み込み、有意義に過ごしました。日常と比べて、1週間の濃度がかなり違う。それは「1週間しかここにいられないから、1日、1時間を大切に使おう」「なるべく今ココでしかできないことをやろう」と、時間の限定感を強く実感していたからです。

でも本当は、日常だって時間に限りがあるはず。
今日という1日も、寿命の一部なのだから。
それを意識して時間の使い方に能動的でありたいと思いました。

 

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2025年1月25日 (土)

Vol.309『迷う時間を最小化して、1日を充実させる方法。』

何のタスクにいつとりかかるのかを決めていないと、都度都度、「次は何をやろう?」という迷いが生じます。運動や食事、買い物などのプライベートなタスクも含めて1日の時間割を作り、その時間割どおりに行動するのがタイムボクシングです。

私は社会人2年目から、店舗の管理の仕事をするようになりました。経理・総務・人事など、バックオフィスのなんでも屋さんで、やることが多すぎる上に忘れっぽいので、自然とエクセルでタイムボクシングをしていました(当時は、タイムボクシングという言葉さえ知りませんでした)。
これを始めてから、自分が予想した時間の見積もりが甘いことに気づきました。資料作成は3時間あれば足りるかなと思ったものの、実際は倍かかり、翌日に持ち越したりします。時間割を作ることで、自分の時間感覚と実際の作業時間のズレを修正していくことができました。

 

(『あっという間に人は死ぬから
佐藤舞 著
KADOKAWA 40頁より引用)

本書で紹介されている「時間割を決めて動く」タイムボクシング、これは仕事はもちろん、プライベートの時間管理にも大きな効果を発揮すること実感します。わたしの場合、出張先での1人の時間をいかに有意義に過ごすかを考える際に、タイムボクシングの考え方が非常に役立ちます。普段の仕事と違って誰かと過ごす予定がない日でも、あらかじめ「やりたいこと」を時間ごとに決めておけば、バラエティ豊かに時間を味わうことができます。

例えば、朝はまず、身体を動かすことからスタート。1時間のランニングをスケジュールに入れ、心身をリフレッシュさせます。次に、普段あまり使わない脳の部分を活性化させるために、ウクレレの練習に取り組みます。楽器の演奏は指先を使う細かい作業ですし、仕事ではあまり使わない感覚を刺激するので、良い脳トレになります。あえて違う種類の活動を取り入れることで、普段の仕事とは異なるリズムで1日を過ごすことができます。
さらに、積読状態の本を読む時間もあらかじめ決めておくことで、ただダラダラと過ごすのではなく、知識を吸収する時間として充実したものに変わります。本を手にカフェに行き、時間を決めて読むことで集中力が増し、短時間でも有益な情報を取り込むことができます。

このように、丸一日フリーだからと言って無計画に過ごすのではなく、あらかじめ自分のやりたいことやリフレッシュ方法をスケジュールに組み込んでおくことで、毎日の充実度はグンとアップします。ちなみに、ダラダラしたりのんびりしたりする時間も必要なので、その時間割も入れておけば、窮屈感を感じず、安心してのんびりとリラックスを味わえます。
日々をより充実させたい人は、この手法を活用して「迷う時間」を最小化してみてはいかがでしょうか。

 

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2024年12月25日 (水)

Vol.308『道具の使い方のみ教え、何をやるかは本人に考えてもらう。』

(横田)今年も大谷翔平選手の活躍は目覚ましいですが、大谷翔平はなぜ世界の大谷翔平になったのか、これについてどう思われますか?

(栗山)もちろんご先祖様からの遺伝子がうまく組み重なって、あれだけの体格と能力が生まれているのは事実ですけど、僕が思っているのは「自分で考えて自分で答えを出してきた」ということです。自分で考えてやったことしか、失敗した時にプラスにならないという話をよくするんです。要するに、人から言われたことを鵜呑みにしてやっていると、うまくいかなかった時に本質的に自分のせいにならないので、進み方が遅いという感覚を彼は持っていると思います。二刀流という、前例のない初めてのことに挑戦するに当たっても、練習メニューを最後は全部自分で考えなきゃいけない。
常に自分で考えて自分でやってきた習慣が、ああいう選手をつくり上げた。ですから、子供の時からできるだけ自分で考えて失敗をする、自分で考えて成功するという経験をさせてあげる必要があるというのが、僕が彼から得た学びですね。

 

(『月刊致知 2024年8月号
栗山英樹・横田南嶺の対談より
致知出版社 22頁より引用)

クライアントが自立して考える力を養うために、どうアプローチすべきか。このテーマについて、最近の相談を思い出しました。「自分はパートナー型のコンサルタントで、クライアント自身に考えてもらうことを大切にしたい。でも、『答えを教えてください』と依存されがちです。どうすればクライアントの自立を促せるでしょうか?」という質問です。
このような悩みを抱えている方にとって、今回の栗山英樹さんと横田南嶺さんの対談が非常に参考になると感じました。大谷翔平選手が二刀流という挑戦をして世界的なプレーヤーになった理由のひとつに、「自分で考えて自分で答えを出す習慣があった」という点が挙げられています。この話は、コンサルタントとクライアントの関係にも当てはまります。

たとえば、わたしがキャッシュフローコーチとして関わる時、まずは基本的なツールやメソッドの使い方をお伝えします。ビジョナリープランの策定法、お金のブロックパズル、ビジョナリーコーチングなど、これらはすべて「道具の使い方」に過ぎません。道具の使い方を学んだクライアントが、その後どのようなビジョンを描き、どのような作戦を立て、何を成し遂げるのかは、クライアント自身に考えてもらうべきもので、わたしたちの役割は、そのプロセスを、質問や事例ストーリーを通して、彼らの気づきを促すサポートです。
この「道具の使い方を教えるが、使い道はクライアント自身に考えてもらう」という役割分担を、あらかじめ明確に伝えておくことが大切です。そうすれば、クライアントも「答えをもらう」姿勢ではなく、「自分で考える」姿勢を持つようになり、結果として自立した行動が促されます。大谷選手のように、自分で考えて行動する習慣がつけば、クライアントも確実に成長しますし、その成長こそが長期的な成果を生むのではないでしょうか。

 

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2024年11月25日 (月)

Vol.307『発想の転換!「働いて疲れたから休む」の脱却。』

皆さん常日頃、手帳やスマホでスケジュールを管理していると思います。たいていは週末が終わった日曜日に手帳を開いて、明日から1週間の日程を確認することが多いのではないでしょうか。明日からは、ぜひそれをやめてください。そのかわりに、週末がはじまる土曜日に手帳を開いて、次の月曜日からの1週間の日程を俯瞰するようにしていただきたいと思います。

<中略>

私たちは得てして、自分の活動能力は無限大だと錯覚して、予定をどんどん入れてしまいがちです。もし、土曜日に「この週末はどうしても十分な休養がとれない」と判断したら、次の平日5日間のスケジュールはいくつかその翌週に移す、あるいは誰かほかの人に頼む、といった調整をしてもよいでしょう。

卵が先か、鶏が先かというような話ですが、とにかく、「平日のあとの土日で休む」のではなく、「土日に休んだ分で平日働く」と考えるようにしてみてください。

市販されている手帳や、スマホのカレンダー画面はどれも「月曜始まり」か「日曜始まり」になっています。個人的には、すべて「土曜始まり」に変えていただきたいくらいです(笑)。

 

(『あなたを疲れから救う休養学
片野秀樹 著
東洋経済新報社 194頁より引用)

やっていることはほとんど変わらないのに、ちょっとした発想の転換で大きな成果を得ることがあります。私にとっては、例えばコンサルティングにおいて「相手に教える」ではなく「相手に気づかせる」に転換したことが、現在のパートナー型コンサルティングの起点となりました。本書で紹介しているように1週間のスタートを月曜日ではなく、土曜日と設定するのもその一つでちょっとしたことのようで大きな違いをもたらす予感がしています。私自身50代になって体の疲れがしばらく残ることを実感し始めました。以前ならすぐに回復していた疲労が1週間近く持続した時、今までのパターンではなく何かを変える必要性を感じていたのです。

その一方で、気合と根性で乗り越える癖がついており、また過去にやれたからと言う思い込みから無自覚に無理をしていることも気がついていましたそんな時この本を読んで、週のスタートを土曜日からと捉えたところ「この土日にどれだけ体を休め活力をチャージできただろうか?」と言う意識が図り、働き、土日に仕事を持ち込むことをせず、活力をチャージすることにフォーカスを向けるようになりました。また次の1週間を見通して、もしタイトなスケジュールなのであれば、週の真ん中に”活力が湧くご褒美タイム”を設けるなど、”自分を良い意味で甘やかす”ことも躊躇せずできるようになった気がします。
自分に厳しい人や完璧主義な人は無自覚に無理をしてしまいがち。なので、このようなちょっとした発想の転換が大きな成果につながるような気がします。土曜日を週のスタートにするという、この習慣を今後も継続し、その価値を実感していこうと思います。

 

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2024年10月25日 (金)

Vol.306『緊張を楽しむコツは、ある事実を思い出すこと。』

タクヤが僕にこんなことを言ったことがあった。知り合いのサッカー選手が初めてのワールドカップに出場して、試合直前、電話を掛けてきたらしい。

「やばいよ。めっちゃ緊張してる」そう言った彼に対してタクヤは言った。
「今からその緊張を味わえるのって日本に11人しかいないんだぞ。だからその緊張を楽しめよ」

タクヤからその話を聞いた時に、なるほどと納得した。彼はこれまで、そうやって戦って勝ち抜いてきたのだと。彼のこの言葉を聞いてから、僕も、とんでもなく緊張したとしても「この緊張を味わえることは人生であと何回もないのかもしれない」と思うようにしたら、緊張を楽しめるようになった。タクヤも、この人生最高の緊張感を楽しもうとしているのかもしれない。

 

(『もう明日が待っている
鈴木おさむ 著
文藝春秋 86頁より引用)

日常とは明らかに異なる、ここぞという場面に直面すると、人は緊張します。
緊張自体は悪いことではありませんが、緊張し過ぎて萎縮して本来のパフォーマンスが発揮できなかったり、そもそもその希少な場を楽しめないのは、勿体無いことです。
そんな時に、心のベクトルを前に向けさせてくれる言葉は力になります。

本書にあるように、「この緊張を味わえるのは、日本で(世界で)◯◯人だけだ」とか、「この体験は、自分の人生の中でもハイライトの1つになる」とか、「ここに到達するまでの様々なプロセスが、この瞬間をつくってくれた」という目線で捉えられれば、緊張で浮き足立つのではなく、その場を楽しむことが大切だ、ということに気づかされます。

わたし自身、これまでに緊張して心拍数が上がった体験はいくつかあります。
例えば、「プロレスの聖地、後楽園ホールでリングの上から講演するとき」、「憧れのプロレスラーが参加者として座っている場で、3時間のセミナーをやるとき」、「幕張メッセで2000人の参加者に向けて講演をするとき」、「はじめてウクレレのソロ演奏を人前でやるとき」などなど。これらの瞬間にも、前述の言葉を自分に投げかけて心のベクトルを前に向けることで、やり遂げてきました。

と同時に、もう1つ力を与えてくれる言葉があります。それはオグマンディーノの「すべての出来事が、いずれ過去となる」という言葉です。この事実を思い出すだけで、肩の力がフッと抜けて軽くなり、「だったら、今やれることをやり切るぞ」とスイッチが入ります。緊張を感じた時に、自分に投げかける言葉を用意しておくこと、お勧めします。

 

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2024年9月25日 (水)

Vol.305『一流のレベルに達する秘訣は、解像度高く学び鍛錬する。』

ドリブルというと、スピードに乗って目の前の相手をかわしていくものというイメージがあるかもしれない。だが、本来の目的はボールをスペースへと動かしてプレーの選択肢を増やすことだ。U12で教えていただいた「ボールを運ぶ」というのも同様に、パスコースを見つけるためなど、自分に有利なスペースへとボールを持って移動するという意味だった。

ドリブルは個人のセンスに大きく左右されるとも言われるが、そのひと言で片付けないほうがよいと思う。僕も、自分の武器であるドリブルにつながる「ボールを運ぶ」技術を小学生の時にしっかり教え込まれたことが現在につながっていると思う。大事なのは、ボールを動かす際のボールタッチを、毎回同じにすることである。そのためには、前述した「ボールの中心を利き足の薬指と中指の間に置く」という準備が必要であり、同時に「足の小指を使ってボールを押し出す」という練習も繰り返し行った。そういうボールを運ぶ技術を身につけると、ドリブルの技術向上につながってくる。ドリブルでは感覚も重要だと言われるが、それにあまり大きく左右されることなく、再現性の高いプレーが可能になるのだ。細部にもこだわりつつ少しずつ技術を積み重ねていくことで、僕は「ドリブルとはこういうものなんだ」ということが、印象としてではなく、はっきり理解できるようになった。

 

(『VISION夢を叶える逆算思考
三苫薫 著
双葉社 69頁より引用)

本書の三苫選手のドリブルの定義やトレーニング法を読んで改めて感じたことがあります。それは一流のレベルに達する秘訣は、他の誰よりも解像度高く捉えて学び訓練するということです。わたしがキャッシュフローコーチを養成する中で、ビジョナリーコーチングと言う対話のスキルがあります。これは、①タイトル、②現状、③理想、④条件の4つを順番に聞いていく、というシンプルなメソッドです。そしてシンプル故に、「単に話を引き出して状況を整理し、スッキリさせる」レベルで終わるコーチと、「思いもよらない着眼点に気づき、1人では到達できなかったシナリオをもたらす」コーチまで、差が出ます。

レベルアップのために量稽古を行うのは当然ですが、より早く高いレベルに到達するにはいくつかのポイントがあります。「相談のタイトルを明快に言語化してから始める」「タイトルは5割の確率で真のタイトルではないと知る」「正しい現状把握がコンサルの9割である」「理想を明らかにするのは1人では大変だからこそ、コーチがサポートする意味がある」「理想に到達する条件探しは、コーチ自身の経験値が武器になる」「そもそも対話を始める前に“安心安全ポジティブな場づくり”が大前提である」などです。

シンプルなメソッドだからこそ、具体的にどのような意識で行うか、によって成果が変わります。キャッシュフローコーチ養成塾ではこのような学び方を解像度高くお伝えし、それを塾生同士で、量稽古できる環境を提供することにしました。その結果、この10年間で1000人を超える仲間を養成することができ、クライアントのビジョン実現をサポートする上で影響力を高めてきました。今後もわたし自身がさらに解像度高く学び、鍛錬することを実践し、大切な仲間たちに模範を示していきたいと考えています。

 

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2024年8月25日 (日)

Vol.304『未来に目的があれば、人は強くなる。』

ナチスの強制収容所で4年を過ごした精神科医のヴィクトール・フランクル氏は、「夜と霧」にこう記しました。「強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的をもたせなければならなかった。被収容者を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みがしたがうべきは、ニーチェの的を射た格言だろう。『なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える』。したがって被収容者には、彼らが生きる『なぜ』を、生きる目的を、ことあるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な『どのように』に、つまり収容所生活のおぞましさに精神的に耐え、抵抗できるようにしてやらねばならない」

フランクル氏は、生涯を通して人生の意味の問題を追い続けた人物です。アウシュビッツでも生き延びる態度を崩さなかった彼はやがて、人間はむしろ人生から「価値観」を問われているのであり、それに責任をもって答えなくてはならない、との境地にいたりました。明確な「価値観」は、ナチスの迫害すら耐え抜くモチベーションを与えてくれるというのです。

<中略>

価値に沿って生きるほど日々の悩みは消え、自然と自分をいたわる行動が増えていきます。不安に立ち向かうには、まずはあなたの「価値観」を見定めるべきです。

 

(『最高の体調
鈴木祐 著
クロスメディア・パブリッシング社 182頁より引用)

コンサルタントとして起業して26年目になりますが、当初と今を比べて世の中を見た時に「変わったな」と感じることの1つは、「ミッションやビジョンの重要度が以前よりも増したこと」です。1990年代は、「ビジネスは儲けてナンボ、ビジョンとかミッションとかのキレイごとより、儲かるかどうかが大切だ」と豪語する経営者が少なくありませんでした。あれから四半世紀以上が経ち、周りの経営者やコンサルタントの悩みを聞いていると、「どこに向かっていけば良いか、わからない」「今の延長上にワクワクがあまり感じられない」など「ワクワクするビジョンが見い出せない」ことに起因するものが目につきます。

そこで、わたしが提唱するのが「ビジョナリープランの策定」です。これは、ミッション、セルフイメージ、カンパニースピリッツ、ビジョンの4つを言語化することで、あり方を立体的に確立するものです。参考に、その定義を紹介しましょう。ミッションは「使命感をもってやること」、セルフイメージは「ビジョン実現を後押しするあなたならではの肩書き」、カンパニースピリッツは「仲間が集まる、あなたならではのこだわり」、ビジョンは「理想の状態」です。この4つを言語化することで自分の大切な価値が浮かび上がり、「やること・やらないこと」が明確になると共に「どのようにやるか」も見つけやすくなります。
それによって迷いがなくなり、力強く生きることができる。わたし自身、独立当時にそれらを言語化し、マイナーチェンジを繰り返しながら今に至ります。その経験からも、自分の「あり方」を言語化して、それをビジネスや人生のガイドラインにすることのパワフルさを確信しています。わたしがキャッシュフローコーチを全国に養成するのも、多くの経営者が未来に目的を持ち、ワクワクする手助けがしたいから。これからも前進し続けます。

 

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