今月のワニレポ(今月の一冊から)

2020年7月25日 (土)

Vol.255『望む成果を出したければ、出口からの逆算で入口を決める。』

入口系というのは、外部から入ってくる基礎的な情報をどのように仕分けするか、識別するかという話だ。対象は音声であり、画像であり、言葉といったものだ。異常検出系などは基本的にここに含まれる。出口系というのはヘルスケア、住宅、教育、金融などといった実際の産業での用途、もしくはその構成要素としての調達、製造、マーケティング、人事といった機能側の話だ。

確かに1章で触れた通り不連続的なAIの発展が今起きていることは事実ではあるが、現在の変化は、ほとんどが入口側のテクノロジーの変化である。実際に僕らの身の回りでデータ×AI化している部分は、もともと取り扱う対象がデジタル情報であるデジタルマーケティング分野か決済領域に集中している。

ただ、産業は、それが生み出す付加価値から見てわかるとおり、9割方出口側に存在している。ここが一気にデジタル化、スマート化しようとしているのが我々の置かれている局面だ。応用のフェーズはこれから始まる。

 

(『シン・ニホン
安宅和人 著
NEWS PICKS PUBLISHING 118頁より引用)

本書ではAIに関して入口と出口のそれぞれの進化の過程を述べていますが、これを読みながら、「コンサルタントとしての入口と出口の捉え方」の大切さに思い至りました。

先日、若手コンサルタントからこんな相談を受けました。

「これから医科や歯科のクリニックのコンサルに関わりたいのですが、どんなインプットをすべきでしょうか?例えば医師法なども勉強しておくべきでしょうか?」

つまり、クライアントの本業について、どこまで理解する必要があるか、という相談でした。もし時間が無限にあるのなら、医師法を学ぶことは院長の本業への理解が深まり、また「そこまで勉強してくれたんですか!?」とこちらの本気が伝わる、など一定の意味はあるかも知れません。しかし、ここで大切な問いは「クライアントが望む成果を出す上で、コンサルタントが知っておくべきことは何か?」でしょう。時間が限られた中で、コンサルタントが医師法を学ぶ必要があるか、というと不要だと考えます。クライアントの方が詳しいことをコンサルタントが重複して学んでも、報酬に見合った成果は発揮できないからです。

わたしの思考のフレームに「抽象度と具体度のレバー」がありますが、この「医師法を学ぶ」は具体度が高めのアプローチです。そこで、もう少し抽象度を高めて発想すると「医療機関のコンサルをする上で知っておくべきことは何か?」となります。それは例えば「飲食店や通販のような“利益追及的側面”を表に出しやすい仕事と違い、医療機関は“人の命や健康を扱う福祉的側面”が大きい」仕事であることへの理解です。それを踏まえた対応をしないと、院長やスタッフに違和感を与える物言いをして、関係性を壊してしまいます。従って、そのような「関わり方の勘所や、コンサルをする上での他の業種との明らかな違いは何か?」を追及することの方が先です。インプットはアウトプットから逆算して決めたいものです。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年6月25日 (木)

Vol.254『逆境を逆手にとって進化する、と決めてみる。』

歌舞伎の歴史は、江戸時代初期にまでさかのぼります。その起こりは女性芸能者・出雲の阿国によって始められた「かぶき踊り」で、最初は女性たちによる踊り中心の芸能でした。
「かぶき踊り」は庶民の間で大人気を博し、多方面に影響を及ぼし、様々な芸能を生み出します。女性たちによる「女歌舞伎」、遊女屋で広がった「遊女歌舞伎」、少年たちによる「若衆歌舞伎」。ところが、それらはいずれも「風紀を乱す」という理由で、当時の幕府に禁止されてしまうのです。<中略>そこで、次に出てきたのが成人男性を中心とした「野郎歌舞伎」です。「成人男性だけで演じるのなら、文句はないだろう」というわけです。
ただ、メンバーが男性だけですから、物語のヒロインも男性が演じなければなりません。
そこで「女性を演じる男性」である「女方」が生まれ、今の歌舞伎の原形ができました。
このように、歌舞伎の歴史とは、「お上から禁じられては、臨機応変にスタイルを変える」という苦難の歴史そのものだといえます。しかし、様々な制約を受け入れ、逆手にとった結果、「男性だけで演じる」という新しい演芸の形を生み出すことに成功したわけです。
「あらゆる逆境を乗り越え、成長の糧にする」、そんな反骨精神によって、歌舞伎は完成形へと近づいていきます。

 

(『教養としての落語
立川談慶 著
サンマーク出版 108頁より引用)

昨今の新型コロナがわたしたちの仕事や生活に与えた影響はかなり大きなものになりました。とりわけ、「行けない」「招けない」「会えない」というのは未体験な“制約”です。
ビジネスで粗利を生むための工夫には「価値を上げる工夫」「価値を伝える工夫」の2つが必要と伝えてきましたが、これからはそこにもう1つ「価値を届ける工夫」が必要になりました。たとえ「最高に美味しい料理」で、「その価値がきちんと伝わって」いても、それが「お客さんに届く手段がない」ならば、お店は粗利をつくりませんからね。
こんな時だからこそ、わたしは本書にあるように「逆境を逆手にとって」進化する道をたどりたいと考えました。たとえば、6月からスタートするキャッシュフローコーチ養成塾。
今までは東京と大阪の会場に20~30人が集合して運営してきました。しかし、「会えない」という制約を考慮して、今年はオンラインで提供します。そこで、オンラインになると、どんな影響が出るか、制約や特徴を具体的に考えてみました。

  • 開始前や休憩中などに、参加者同士が雑談をして仲良くなる機会が持ちにくくなる。
  • 画面越しだと胸上の顔だけで全身が見えず、顔と名前を覚えにくくなる。
  • 好きな場所から参加できるので、快適な椅子や香り、空間を自分の意思で整えられる。
  • 講師を全画面表示できイヤホンで聞けば、参加者全員が“最前列の感じ”で受講できる。
  • 画面全体に全員の顔が一覧表示され、お互いのリアクションがリアルタイムに伝わる。

ざっと、これらのことが思い当たります。そこで、これらの制約や特徴を逆手にとって、「オンラインで届けるからこその価値」を今年は追求すると決めました。またご報告します!

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年5月25日 (月)

Vol.253『法律面の不安はその場で解消して、本業に専念しよう。』

法務担当者は通常の営業活動とは少し距離があるため、法律関係の用事がある時だけ話をしに行くことが多いと思いますが、経営者もブランド・マネージャーも日ごろからコミュニケーションを取り、少しでも気掛かりなことは法務担当者に気軽に相談できるのが理想です。
日々の営業活動も契約書や商標の更新やコンプライアンスなど法律に関係することがたくさんあるのに、法務担当者と距離があれば、それらのことを確認するのが億劫になります。
法務関係のことを後回しにしたり、分からないことをうやむやにするのは会社にとって大きなリスクです。法務担当者に気になることは相談し、自信を持って仕事を進められることが大切です。

<中略>

また、弁護士にもさまざまなタイプの人がいますが、法律とその解釈を説明するだけでなく、「そういうことなら、こういう方法がありますよ」と具体的に問題の解決策を示すなど、経営者的な感覚を兼ね備えている人と一緒に仕事ができると、成果は大きくことなってきます。

 

(『百戦錬磨
ハロルド・ジョージ・メイ 著
時事通信社 143頁より引用)

わたしは独立当初から様々な専門家とおつきあいしてきましたが、法律面についても長年のお付き合いの弁護士と弁理士がいます。日常的には相談をすることがないため、気がつくと何年もご無沙汰していることもあります。そうすると、心の距離も離れてしまい、気軽に相談しにくい感じになったりします。先日、それが原因でヒヤっとする体験がありました。

わたしがキャッシュフローコーチ・メソッドとして世に発信しているいくつかのノウハウがあり、その1つを「そろそろ商標登録した方がいいかなぁ」とふと思いたった時のこと。
数年ぶりに弁理士に連絡を入れ、具体的に申請手続きを進めてもらうことにしました。
するとすぐに連絡があり、「先行で申請が出されています」とのこと。
「そんな馬鹿な!?」と詳細を尋ねると、ちょうどわたしが数年前に本を出版した直後に、見ず知らずの人がその名称と図形の申請を出していたのです。

その日の夜は心臓が高鳴り、ろくに眠れませんでした。もし、その人に商標権が渡ってしまったら、いちいち使用料を請求されるのだろうか?あるいは、こちらの使用に制限をかけられてしまうかも知れない。眠れない夜が明けた翌朝、スマホを開くと弁理士からのメッセージが届いていました。内容は「先行で出された申請は特許庁から却下された」とのこと。理由は「和仁の著書の内容と同一だから」。審査官がたまたまネットで検索し、拙著の存在を知ってくれていたおかげで、危うく商標権が第三者に渡らずに済みました。もちろんわたしはすぐに申請を実施。無事、商標権をおさえることができました。あんな不安は二度としたくありません。本業にも支障が出かねません。法律面の不安はその場ですぐに解消できるよう、遠慮せずに専門家に相談すべきだと実感しました。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年4月25日 (土)

Vol.252『何を、なぜ、どのようにやるか?を言語化する。』

ビジョンに求められる最も重要な要件、それは「共感できる」ということです。目的とその理由を告げられて、自分のその営みに参加したい、自分の能力と時間を実現のために捧げたいと思うこと、つまりフォロワーシップがそこに生まれることで初めてそれと対になるかたちでリーダーシップが発言するのです。ところが、多くの日本の企業のビジョンは、その事業に参画する人にとっての「共感できる」ものになっていません。では、どのようにすれば「共感」を獲得できるビジョンを打ち出せるのでしょうか?

<中略>

まずは、ジョン・F・ケネディが1961年に打ち出したアポロ計画です。アポロ計画において、ケネディは主にスピーチという形をとってさまざまな関係者に対して継続的に次のようなコミュニケーションを行っています。

【WHAT】1960年代中に人類を月に立たせる
【WHY】現在の人類が挑戦しうるミッションの中で最も困難なものであり、であるがゆえにこの計画の遂行によってアメリカおよび人類にとっての新しい知識と発展が得られる
【HOW】民間/政府を問わず、領域横断的にアメリカの科学技術と頭脳を総動員して最高レベルの人材、機材、体制をととのえる

 

(『ニュータイプの時代
山口周 著
ダイヤモンド社 131頁より引用)

わたしはコンサルタントとして独立する際に、「ビジョンの実現化をサポートする」ことをミッションに掲げて起業しました。ビジョンを重要視した理由は2つあり、1つは「経営者が望むところにブレずにたどり着くため」で、もう1つは本書でも提示されている「仲間がワクワクして参画したくなるため」です。そこに大切な要素が「共感できる」ことという指摘はまさに同意です。そこで、この機会にわたし自身もWHAT(目的)、WHY(理由)、HOW(やり方)の3つの視点で言語化してみることにしました。

【WHAT(目的)】
ビジョンとお金を両立して社長と社員が夢や人生観を語り合う世界を創る。
そして、それを支援するキャッシュフローコーチという新たな職業を創造する。

【WHY(理由)】
その実現には、社長が本業に専念できるよう二人三脚でサポートする、社外パートナーの支援が必要だから。

【HOW(やり方)】
日本キャッシュフローコーチ協会という安心安全ポジティブなコミュニティを育み、キャッシュフローコーチの質と認知度を高め、新たな職業にして世に広める。

書いてみると考えが明快に整理されました。みなさんもトライしてみてはいかがでしょうか。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年3月25日 (水)

Vol.251『割れた窓理論を組織風土改善に活かす。』

この劇的な成功を支えたのは、犯罪学者のジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した「割れた窓理論」でした。割れたまま修理されていない窓のそばを通りかかった人は、だれも気にしていないし、だれも責任をとっていないと思うだろう。まもなくほかの窓も割れる。すると無法状態の雰囲気がたちまちそのビルから向かいの通りへと伝わり、ここでは何でもゆるされるという信号を発しはじめる。
都市においては、たとえば落書きや風紀の乱れなど、比較的些細な問題のすべてが「割れた窓」と等しく、より深刻な犯罪の呼び水になる。

<中略>

重罪犯罪そのものに取り組むのではなく、軽微な犯罪を取り締まることで、「犯罪がうまくいきそうだというサイン」を減らし、そのことによって、街や地下鉄に秩序の感覚が出てきます。そうすると、犯罪行動に走りにくくなり、ますます、犯罪がうまくいきそうな兆候が町や地下鉄から減ってきます。すると、ますます秩序感が増して、犯罪が減る、、、という好循環の自己強化型ループをつくることができたのです。

 

(『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?
枝廣淳子・小田理一郎 著
ダイレクト出版 143頁より引用)

人をルールだけで縛るのは、なかなか難しいところがあります。ルールの盲点をついてグレーゾーンを追求する人が現れるのは、税金逃れをはじめ、様々なシーンで見受けられますからね。では、会社やコミュニティにおいて、メンバーが望ましい言動をするよう促すには、どうすればいいのか?その一例として、わたしが日本キャッシュフローコーチ協会において意識していることを紹介します。

この協会は全国各地で活躍する500人以上の仲間が場所の制約なく交流するため、ふだんはfacebookグループで情報交換をします。わたしたちはここを「安心安全ポジティブな場」にすることに情熱を注いでいます。一方で、よそのコミュニティでよく聞くのは「宣伝投稿が多くて興ざめする」「投稿しても誰もリアクションしてくれないので、投稿する気が失せる」「べき論の押し付けやマウントを取るような議論をふっかけられて、面倒臭い」などの声です。そのように不健康な雰囲気になってから「安心安全ポジティブな場」に持っていくのはかなり大変。そこでわたしが協会スタート段階から意識していることは、「気がかりが小さなうちに、予防策を打つ」です。例えば「宣伝投稿が気になる」ときは、スルーせずに「広告投稿のガイドライン」を言語化し、動画で配信する。「アウトプットや実践が少なく、インプット過多感がある」ときは、「自分サイズのアウトプット」を提唱する、などです。逆に「勇気を出して初めて投稿してくれた」時には、わたしが率先してコメントを入れて他の人のコメントを誘発します。気がかりも良いことも、小さなうちに手を打って、安心安全ポジティブな場をつくっていく。その積み重ねが雰囲気づくりの秘訣だと感じます。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年2月25日 (火)

Vol.250『失敗や未達を恐れず、目標を宣言してもいい理由。』

たいていの物語は次のように要約できる。
何らかの目的を持つ主人公が、それを達成する前に問題に出くわす。主人公が絶望の淵に立たされたとき、導き手が現れて、計画を授け、行動を促す。その行動により、主人公は失敗を回避して、成功に至る。

ほとんどの映画では、何らかの形でこの構造が登場するはずだ。物語の7つの基本要素は音楽のコードのようなもので、この要素を使って生み出すことのできる物語は無限にある。ギターを弾くときに7つの和音でいくらでも曲を作れるのと同じだ。一方、そのコードからあまりにもかけ離れると、音楽ではなく雑音になってしまう危険がある。

 

(『ストーリーブランド戦略
ドナルド・ミラー 著
ダイレクト出版 35頁より引用)

人の信頼を得る手段の1つは「有言実行」でしょう。声高らかに目標を掲げ、それを達成する姿を見た時、周りの人たちはその人を尊敬します。それを知っているからか、「目標を掲げることを躊躇する」人も少なからずいるようです。それは、「達成できなかったときに、叩かれるのが怖いから」ではないでしょうか。その恐怖を克服する話をしたいと思います。

わたしは6年前から毎年12月にホノルルマラソンに出場しています。そして、その初回出場の際に「サブ4(4時間切り)を目指す!」と宣言し、結果は4時間59分。つまり未達でした。そして2回目は5時間9分。3回目は4時間58分。そして直近の6回目は4時間39分で、いまだにサブ4の目標は達成できていません。
つまり、自身の養成塾やコミュニティ、facebookやメルマガなどで何度も宣言しておきながら、6年間にわたって未達が続いているわけです。わたしは当初、「メッチャかっこ悪い!塾生やクライアントにどんな顔して報告すればいいんだろう?」と落ち込みました。ところが、実際には目標未達を蔑む声は全くなく、周りの人たちはフルマラソンに挑戦し続けていることを賞賛し、励ましの声をかけてくれました。そこでわたしは大きな発見をしたのです。

それは「人は物語に惹きつけられる」ということ。
つまり、周りの人は「目標を達成したかどうか」の結果だけではなく、「どのように目標に向かったか」の姿勢やプロセス(=ストーリー)も見ているということです。つまり、「目標は、達成したら尊敬され、失敗しても応援される」ということです。
目標は、達成しても未達でもどちらもプラスしかなくて、マイナスがあるとすれば、「目標を掲げておきながら、そこに向かう行動を全くしなかった」場合だけです。
なので、達成したい目標があるのなら、周りに宣言した方が絶対に得。それが自分の周りに応援団をつくる最大の秘訣なのだから。できることから宣言してみてはどうでしょうか。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2020年1月25日 (土)

Vol.249『ルールとは別次元の価値判断基準を持つ。』

現在、社会における様々な領域で「法律の整備が追いつかない」という問題が発生しています。システムの変化に対してルールが事後的に制定されるような社会において、明文化された法律だけを拠り所にして判断を行うという考え方、いわゆる実定法主義は、結果として大きく倫理を踏み外すことになる恐れがあり、非常に危険です。この危険性をわかりやすい形で示していたのが旧ライブドアや一連のDeNAの不祥事でした。

現在のように変化の早い世界においては、ルールの整備はシステムの変化に引きずられる形で、後追いでなされることになります。そのような世界において、クオリティの高い意思決定を継続的にするためには、明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められることになります。

グーグルは英国の人口知能ベンチャー=ディープマインドを買収した際、社内に人口知能の暴走を食い止めるための倫理委員会を設置したと言われています。人口知能のように進化・変化の激しい領域においては、その活用を律するディシプリンを外部に求めることは大きく倫理に悖るリスクがあると考え、その判断を内部化する決定を下したわけです。

 

(『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
山口周 著
光文社新書 19頁より引用)

変化が少なく、組織が小さいうちは、メンバーの足並みを揃えることは比較的簡単だったりします。ところが、変化のスピードが早い時代に組織が急速に大きくなると、メンバー全員の足並みを揃えることは途端に難しくなったりします。とりわけ組織の変容進化のスピードが速いと、上記に記載の通りルールづくりが後追いになり、実態に追いつかなくなり得ます。

わたしが代表を務める日本キャッシュフローコーチ協会は、会員の「自立性と主体性の発揮」と「安心安全ポジティブな場づくり」という価値観を共有しているおかげで、全体としては事前の想像以上に健康的に成長させてもらっています。ただ、設立して5年目になり500人を超える規模になったところで、やはり細部においては気になることが起きています。

例えば、ある会員が「ルールには反していないので、◯◯はしてもOKですよね」というスタンスで行うことの中に「確かにルール的にはOKだけど、それってどうなの?」と一部の人に違和感を感じさせる行為があったりするわけです。かと言って、それをルールで制限するのは違う気がします。それだと細かなルールが乱立して、わずらわしくなると同時に、そもそも「安心安全ポジティブな場づくり」に逆行しそうだからです。

そこで、2020年からわたしが追求し、仲間たちに問いかけていこうと思っていることは、「かっこよさの追求」という軸です。その具体的な判断は人それぞれ異なるにせよ、方向性として「損か得か」「正しいか間違っているか」という左脳的な軸だけでなく、「かっこいいかかっこ悪いか」という右脳的な軸を持つことで、さらに魅力的な組織になると思います。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2019年12月25日 (水)

Vol.248『年下と年上、それぞれとの向き合い方。』

六十五歳になったサンダースに残されたものは、中古のフォード車とフライドチキンの作り方だけであった。サンダースは、すでに、白髪、白髭であったが、フライドチキンの売り込みに奔走する。1000軒のレストランをまわったこともあるという。住みなれた町をあとにして、車の中で寝泊まりしながらセールをつづける。そして、ついに成功を収め、アメリカン・ドリームのヒーローとなった。「青春」のウルマンは、青春にあこがれ、老年にも、それに手が届くといっているが、サンダースは、ただひたすら、前進することで年を忘れる。実践的である。ガムシャラに突っ走るのは老人のすることではないが、構わず、走り回って、大業を成就させた。もっとも大切なところは、六十五歳が決しておそすぎることはないという点である。新しい人生を始めるのに、サンダースにとっては、不利と思われたことが、プラスのはたらきをしている。長生きはすばらしい。第二の人生を第一の人生以上のものにする時間がある。年をとった、といって、くじけてしまうのではなく、新しい挑戦への意志を堅持するのが鍵である。

 

(『知的な老い方
外山滋比古 著
だいわ文庫 48頁より引用)

人生100年時代と言われ、60歳以降も40年近く生きる可能性が現実的になってきました。20歳から60歳までと同じ時間があるわけで、そこを楽しく充実したものにできるか否かは、60歳までの生き方で決まってくると思います。なので、今を真剣に生きながら、並行して60歳以降の生き方も視野に入れておいた方が良いと感じています。

60歳を超えた生き方において、わたしに最も影響を与えてくれたのは、堀貞一郎先生です。
彼がご健在の頃、興味深い話を聞かせてくれました。
「ふつうは『年下は励まし育てる存在で、年上は尊敬する存在』だと思われがちだけど、わたしはそうは思わない。年下こそが“尊敬する存在”だ。なぜなら、常に新しく生まれた人の方が進化しているから。そうでなければ、人類の進化はあり得ないからね。では、年上はどういう存在か。尊敬する存在ではなく、年上は“労う存在”だ。大変なことを乗り越えて叡智を引き継いでくれていることを労うのです」
また、堀先生の師匠から代々語り継がれた教えとして、こんな言葉も授かりました。
「人生の極意は、上下20歳以上、歳の離れた友達を持つことです」

今、仕事を通して、年上の人とは多くの接点がありますが、年下の人(とりわけ20歳以上若い人)との接点は積極的につくりにいかなければ、なかなか得がたいことに気づきました。

思い返せば、堀先生をはじめわたしがお手本とするような高齢の方たちは、みな若い人たちと日常的につきあっています。それは自然とそうなるのではなく、意識してそのような状況を作り出すことが大切なんだろうな、と強く感じる今日この頃です。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2019年11月25日 (月)

Vol.247『何かを続ける最大の秘訣は、「続ける」と決めること』

私は三十年来、ずっと二百字詰の原稿用紙を使ってきた。すこしずつ買う。なくなるとまた買う。いかにも、その日暮らしのようで、自分でもあわれと思うようになった。

私製の原稿用紙を作ろうと心にきめたのは、はじめの勤めを停年でやめる前である。いまさら、そんなぜいたくをしてどうするという気持ちをおさえて、特製原稿用紙をつくろうと思い立った。いよいよつくることになって、何枚つくったものか、で迷った。それほどたくさん原稿を書くわけでもないし、学校をやめれば、仕事はさらにすくなくなるにきまっている。

それかといって、千枚や二千枚では、注文するのが恥ずかしい。それかといって、多くすれば、紙の山を残してあの世へ行くことになる。なかなか決めかねる。それで、原稿用紙をつくること自体があやしくなってしまった。

そんなときに、木彫家として知られる平櫛田中の逸話をきいた。このすぐれた彫刻家は、そのころすでに九十五歳か六歳であったが、新たに十年分の木材を購入したというのである。

 

(『知的な老い方
外山滋比古 著
だいわ文庫 39頁より引用)

継続は力である。よく聞く言葉で、おそらく誰もが共感する教訓だと思います。
継続があってこそ、偉大な仕事ができる。野球のイチロー選手をはじめ、継続することで成果を出し名をあげた人は、どの分野にも見つけることができるでしょう。ところが、現実には「なかなか続けられないんですよね」とこぼす人が多いのもまた事実。何かを続けられる人は、一体なぜ、続けられるのでしょうか。

本書で紹介された彫刻家は95歳にして材料を10年分仕入れて、それを使い切るくらい、自分の使命を全うしたといいます。それだけ仕入れたからには、使い切らないわけにはいかない。だからこそ、きっと健康にも気を配るでしょうし、何より活力が増して、結果として健康で仕事をやり続けられたのではないでしょうか。
そして、ここに「ものごとを続ける秘訣がある」とわたしは感じました。
この彫刻家は「あと10年は彫刻をやり続ける」と決めていたはずです。「まあ、年齢も年齢だし、続けられたら、いいな」というレベルだったら、10年分の木材を買う決断はできないでしょう。そこには、「健康で生き続けている」ことや「彫刻の仕事をやり続けている」ことが前提です。そう、この人は「続けることを決めていた」のです。一般的には、「やる気が続いて、それをやる意味が見出せているうちは続ける。でも、やる意味が見出せなくなったら止める」人の方が多い気がします。
ところが、一部の継続する人たちは、「これをいつまでやり続ける」と決めているから、続いていることに気がつきました。なぜ彼らはそれができるのか? それは、おそらく「継続力が雪ダルマ式にもたらす成果の大きさを知っているから」ではないでしょうか。
わたしはそれに気づいて以来、「続けることを決めて」ものごとに取り組んでいます。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

2019年10月25日 (金)

Vol.246『否定語を辞めて肯定語で会話をすると、運が向いてくる』

女神の判断基準は二つである。それ以外のことに彼女はおそらく目を向けない。
これは、勝負師としての経験から言って、まず間違いのないところだ。

一つは、いかなる局面においても「自分が絶対に正しい」と思ってはならないということだ。謙虚でなければならない。どんなに自信があっても、それを絶対と思い込んで発言してはならない。この場合なら、息子のしたことが悪いことで、父親たる私が正しく指導するというスタンスは、女神の不興を買う。
もう一つは、笑いがなければならない、ということだ。どんなにきちんと正しく身を処していても、その過程でまったく笑いがない場合には、どこかで破綻が生じる。少なくとも大成、大勝することはない。
勝利の女神に関するこの二つの考え方は、私の勝負哲学というより、人生哲学である。

 

(『運を育てる 肝心なのは負けたあと
米長邦雄 著
祥伝社 20頁より引用)

コンサルタントという職業は、ふだんから相手の問題点や改善点に目が向きがちです。
そして良かれと思って、アドバイスをしたくなるのですが、これが要注意です。相手が求めてきた上でならいいのですが、何も要望されていないのにアドバイスするのは、もはやアドバイスではなく、単なるお節介でしかありません。しかもそれをした結果、相手はそれを受け入れてくれないばかりか、「余計なお世話だよ」とイラッとされてしまうことも。

わたしは養成塾を主宰している関係で、塾生の中に上記のように「良かれと思って、同期の仲間に問題点の指摘やアドバイスをする」人をときどき目にします。しかも、まだ出会って間もなく、関係性が十分に築けていないタイミングで。そのとき、相手も大人なので素直に聞いてはいますが、内心はどうなんだろう、と気になります。
そしてある時から、わたしはそのような傾向のある塾生に、次の提案をするようにしました。
「Aさんはきっと洞察力が鋭くて、いろいろ気づいちゃうんだと思う。それを最大限に生かすコツがあって、それをすればAさんは多分、さらに周りの応援がもらいやすくなると思うんだけど、知りたい?」
そう言われれば、相手は必ず聞きたいと言ってくれるので、そこでこう伝えます。
Aさんは、この養成塾の6ヶ月の間、塾生仲間の良い点を見つけて、それを本人に伝えてあげる、ということです。本人はそれに気づいていないから、Aさんに感謝するでしょう。そして、そういう経験を積み重ねていくと、やがて厳しいフィードバックをするときにも、相手は耳を傾けてくれると思う。ただそれは今じゃないかも知れないね。今日から6ヶ月間、肯定語だけで会話を組み立てるっていうチャレンジなんだけど、やってみますか?」
これにトライした人は、みんな仲間に囲まれて幸せそうになっていきます。お試しください。

 

追伸、
このワニレポは月2回、メールでも無料でお届けしています。
読み逃しのないよう、こちらから登録できます。
⇒ http://wani-mc.com/mm.html

|

より以前の記事一覧