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2022年7月25日 (月)

Vol.279『独自の着眼点で、新しい価値を顕在化する。』

このプロジェクトは、非常識だった。月収1万円以下で働く障がい者の共同作業所を巡るバスツアーを企画し、その参加費として100万円を請求したからである。この見学ツアーは、もともと無料で行われていた。それに100万円の値段をつけるというのだから、共同作業所の運営者たちには、晴天の霹靂。天地がひっくり返るようなトンデモ企画だった。

今まで見学が無料だった理由は、それが当たり前の慣習だったからだ。障がい者への理解を深められるし、その結果、寄付などの支援につながることへの期待もあっただろう。しかし、これでは「与えるものVS与えられるもの」といった主従関係が固定化してしまう。

そうじゃなくて、、、障がい者が、経営者と対等に向きあうフラットな関係が築けないだろうか?そう考えた結果、思いついたのが、このツアーを「新規事業開発のための研修プログラム」とするアイデアだった。共同作業所ではどんな仕事をしているのか?障がいとは、どんな障がいなのか?得意なことや苦手なことは何か?どう教えると技術を習得しやすいのか?新規事業の開発を目指す企業の幹部社員が、こうしたことを、障がい者や作業所のスタッフから教えてもらう研修プログラムにすればいい。このように位置づけし直すと、ツアーの参加者は「施す側」から「学ぶ側」に変わる。障がい者は「施される側」から「教える側」へと変わる。つまり、「企業幹部=社会的強者」「障がい者=社会的弱者」という常識が逆転するのである。

 

(『未来実現マーケティング
神田昌典 著
PHPビジネス新書 63頁より引用)

上記の記事を読んで感じたことは、環境や時代の変化によって、それまで潜在化していた新たな価値が顕在化する余地は多々ある、ということです。

また逆に、「かつては価値があったこと」が、今では価値がないどころか、むしろマイナスになっていることがあり、考えさせられるところです。例えば、「お客様を丁寧にもてなす」行為で例を挙げると、「タクシーで目的地に到着して支払いを終えた後に、運転手がわざわざ下車して回り込んでお客のドアを開けるサービス」や「デパートのハイブランドのショップで、お会計の後に商品を抱えてお店の出口まで一緒に送り出すサービス」などがあります。が、これらも本当にお客さんに価値を感じてもらえているのか、一考の余地があるとわたしは常々感じます。提供者側は「おもてなし」のつもりでも、お客側は「早く次の動きに移りたいのに、相手にあわせて待たなければならない」ストレスを感じる場合もあるからです。これも、今より時間の流れがゆったりで、「自分のために手間暇をかけてくれる」ことに価値があった時代には喜ばれたのでしょう。しかしスマホにSNSの情報が流れ込み、スピード感が高速化した今は、それがわずらわしく感じる人もいるでしょう。そんな時代は、例えば「服や靴を買う会計時に、予めプライスタグを切り過剰包装を取り除いて、帰宅後すぐに使える状態で渡すサービス」は相手の手間を省く(時間を生む)ことで喜ばれることもあるでしょう。今の時代にあった新たな価値に着目したいところです。

 

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