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2021年7月25日 (日)

Vol.267『コンサルティングは、思考整理が9割。』

人類は爆発的なスピードで道具を発明し、発展してきた。しかし人類史を紐解くと不思議なことがある。人類の石器時代は20万年前から5万年前まで続いている。ということは、その20万年のあいだに人類が開発できた道具は、ごくわずかな種類の石器しか存在しないことになる。言い換えれば人類史のほとんどの時間、人は創造性を発揮していない。しかし、石器時代の終わりからわずか5万年後の現在、私たちは星の数ほど数多の発明や道具に囲まれて生きている。この5万年間にいったいどんな奇跡があったのか。

<中略>

この人類史の疑問に答える仮説がある。言語の登場だ。言語が発明されたのが、ちょうど約5万年ほど前だと言われている。そして言語が発明されてからの5万年は、人類が道具と技術を進化させてきた歴史とぴたりと重なる。進化と同じように、言語も変位と適応を繰り返しながら分化していった。その後、紀元前3500年頃にシュメール人が文字を開発すると、人類が道具を創造するスピードもさらに速くなった。その結果として人類は現在地球全体で6000種類を超える言語を話し、プログラミングのコードや楽譜のスコアなど文化的な言語を含めるとその数はもっと多く、今日も増えつづけている。つまり人類は言語の開発によって、変異的な構想が自然発生する仕組みを身につけ、さらには交流によって適応を加速させ、世代を超え創造を未来に継承できるようになった。

 

(『進化思考
太刀川英輔 著
海土の風 78頁より引用)

上記のくだりを要約すると「人は言葉を使って思考することで飛躍的な進化を遂げ、さらに人と交流することでそれを広め後世に継承する力を得た」ということでしょう。

最近、わたしが改めて重要性を実感しているテーマの1つが「思考整理」です。

わたしの本業であるコンサルティングは、人に質問や事例ストーリーを投げかけることで、盲点に気づかせながら“理想に到達するシナリオ”を見つける手助けをしています。これをはたから見ると、「コンサルティングって、特殊な発想力やセンスで相手が思いつきもしないアイデアを教えて、報酬を得る仕事」と見えるかも知れませんね。しかし実態は全く異なります。コンサルティングとはどんな行為か、と尋ねられたら、次のように答えています。

「コンサルティングは、言葉で人に影響を与え、成果を引き出し、報酬を得る行為」である、と。そして、その会話の中で行なっていることの9割は、アドバイスでもなければ、情報提供でもなく、「状況を正しく把握すること」つまり、「思考整理」です。

「そもそも何に困っているのか?」のタイトルを明確にして、「今どんな状況で、理想的にはどうなりたいか?」を明らかにして、「その理想に到達する条件」を見出す。それを言葉を使って限られた時間の中で導き出すことを職業にしているのがコンサルタントであり、それによって経済効果を発揮します。特別な道具を使うわけでもなく、資格がなくてもやれるだけに傍目にはその価値が伝わりにくいこともありますが、実は「人間が急激に進化した理由でもある“言葉を使って思考を整理する」ことの可能性はわたしたちが認識している以上に大きいのではないか。本書を読みながら、そんなことに気づかされました。

 

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