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2021年3月25日 (木)

Vol.263『自立性を引き出し学習効果を高めるには、適切な問いを立てる』

師匠の教えようとしないものを奪いとろうと心掛けた門人は、いつのまにか、自分であたらしい知識、情報を習得する力をもつようになっている。いつしかグライダーを卒業して、飛行機人間になって免許皆伝を受ける。伝統芸能、学問がつよい因習をもちながら、なお、個性を出しうる余地があるのは、こういう伝承の方式の中に秘密があったと考えられる。
昔の人は、こうして受動的に流れやすい学習を積極的にすることに成功していた。グライダーを飛行機に転換させる知恵である。

それに比べると、いまの学校は、教える側が積極的でありすぎる。親切でありすぎる。何が何でも教えてしまおうとする。それが見えているだけに、学習者は、ただじっとして口さえあけていれば、ほしいものを口へはこんでもらえるといった依存心を育てる。学校が熱心になればなるほど、また、知識を与えるのに有能であればあるほど、学習者を受身にする。
本当の教育には失敗するという皮肉なことになる。

 

(『思考の整理学
外山滋比古 著
筑摩書房 18頁より引用)

効果的な学習方法は、「いきなり答えを与える」のではなく、先に問いを立てて「答えを知りたい」という相手のアンテナを極限まで高めた上で答えを与えることだとわたしは考えています。わたしが養成塾で塾生に大切なことを伝授するときも、そこを重要視します。
以前、中小企業診断士の資格を保有するコンサルタントから次の質問を受けました。
「(国が費用負担してくれるので)無料の診断サービスを見込み客から求められるが、本気を引き出すためにも有料の直接取引でコンサル契約をしたい。どうすればいいですか?」
このとき、方法論をアドバイスしようと思えば「応酬話法のトークの工夫」「メニューづくり」などいろいろあります。しかし、そのときわたしが伝えるべきはそこではない、と感じました。なぜなら、彼はすでに直接契約を取った経験があり、その実力はあるからです。
かと言って、単に「どうすればいいと思いますか?」と返すだけでは、従来の思考パターンをなぞるだけになる気がしたので、次の問いを投げかけました。

「その望みをかなえるために、何を辞めればいいと思いますか?」

つまり、新たな何かを付け加える方向性ではなく、ゴールを邪魔するハードルを取り除く方向性に着眼してもらおうと思ったのです。お察しの通り、彼の商品メニューの中から「無料診断を外せば、見込み客からそれを求められることは無く」なります。そこで求められるのは、「直接取引の正規価格でもコンサル契約したい」と思わせる覚悟とノウハウです。そしてノウハウを持っているなら、最後は覚悟の問題です。それを人に言われてではなく、自分で気づけると納得感は高く、成果につながることでしょう。

 

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