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2019年11月25日 (月)

Vol.247『何かを続ける最大の秘訣は、「続ける」と決めること』

私は三十年来、ずっと二百字詰の原稿用紙を使ってきた。すこしずつ買う。なくなるとまた買う。いかにも、その日暮らしのようで、自分でもあわれと思うようになった。

私製の原稿用紙を作ろうと心にきめたのは、はじめの勤めを停年でやめる前である。いまさら、そんなぜいたくをしてどうするという気持ちをおさえて、特製原稿用紙をつくろうと思い立った。いよいよつくることになって、何枚つくったものか、で迷った。それほどたくさん原稿を書くわけでもないし、学校をやめれば、仕事はさらにすくなくなるにきまっている。

それかといって、千枚や二千枚では、注文するのが恥ずかしい。それかといって、多くすれば、紙の山を残してあの世へ行くことになる。なかなか決めかねる。それで、原稿用紙をつくること自体があやしくなってしまった。

そんなときに、木彫家として知られる平櫛田中の逸話をきいた。このすぐれた彫刻家は、そのころすでに九十五歳か六歳であったが、新たに十年分の木材を購入したというのである。

 

(『知的な老い方
外山滋比古 著
だいわ文庫 39頁より引用)

継続は力である。よく聞く言葉で、おそらく誰もが共感する教訓だと思います。
継続があってこそ、偉大な仕事ができる。野球のイチロー選手をはじめ、継続することで成果を出し名をあげた人は、どの分野にも見つけることができるでしょう。ところが、現実には「なかなか続けられないんですよね」とこぼす人が多いのもまた事実。何かを続けられる人は、一体なぜ、続けられるのでしょうか。

本書で紹介された彫刻家は95歳にして材料を10年分仕入れて、それを使い切るくらい、自分の使命を全うしたといいます。それだけ仕入れたからには、使い切らないわけにはいかない。だからこそ、きっと健康にも気を配るでしょうし、何より活力が増して、結果として健康で仕事をやり続けられたのではないでしょうか。
そして、ここに「ものごとを続ける秘訣がある」とわたしは感じました。
この彫刻家は「あと10年は彫刻をやり続ける」と決めていたはずです。「まあ、年齢も年齢だし、続けられたら、いいな」というレベルだったら、10年分の木材を買う決断はできないでしょう。そこには、「健康で生き続けている」ことや「彫刻の仕事をやり続けている」ことが前提です。そう、この人は「続けることを決めていた」のです。一般的には、「やる気が続いて、それをやる意味が見出せているうちは続ける。でも、やる意味が見出せなくなったら止める」人の方が多い気がします。
ところが、一部の継続する人たちは、「これをいつまでやり続ける」と決めているから、続いていることに気がつきました。なぜ彼らはそれができるのか? それは、おそらく「継続力が雪ダルマ式にもたらす成果の大きさを知っているから」ではないでしょうか。
わたしはそれに気づいて以来、「続けることを決めて」ものごとに取り組んでいます。

 

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