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2018年4月25日 (水)

Vol.228『資質と環境でパフォーマンスが決まる。』

遺伝学の最近の研究では、「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、増強装置概念に近い説が導入されつつある。心理学者が差次感受性仮説(感受性差次仮説)と呼ぶもので、問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりえるという考え方だ。一本のナイフで人も刺せれば、家族の食事も作れる。それと同じで、遺伝子の良し悪しも状況次第で変わるという考え方だ。

もっと具体的に話そう。たとえば大多数の人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4-7Rを持つ。これは、ADHD、アルコール依存症、暴力性と関連がある悪い遺伝子とされている。

しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に行った実験では、別の可能性が示された。クナフォは、どちらの遺伝子の子どもが、自分から進んでほかの子とキャンディを分け合うかを調査した。通常三歳児は、必要に迫られなければお菓子を諦めたりしない。ところが、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは、なんと7R遺伝子を持つ子たちだったのだ。

(『残酷すぎる成功法則
エリック・パーカー 著
飛鳥新社 P.32より引用)

人の能力の良し悪しは、本来は画一的には決まるものではなく、その置かれている環境やタイミングなどによって、コロコロ変わるものだと思います。

最近のわたしの関心事の1つがこれで、「この資質を持つ人は、どんな環境に身をおけば最大限のパフォーマンスを発揮するのか?」という問いです。 かつて、こんなことがありました。

あるアットホームな雰囲気の製造業の会社に、独特な個性を持ち、異彩を放つ伊藤さん(仮名)という社員がいました。かつて小さいながらも会社を経営していたが倒産。その後、その会社に社員として入社した彼は、職場でのダメ出しが多くて、周りに煙たがられてしまいます。「それじゃダメだ!」「もっとこうすべきじゃないか」と改善案を思いついては、すぐに口に出すのですが、言い方がキツくて、特に女性スタッフから不満が噴出。

このような扱いにくい社員をクビにする会社も世の中にはありますが、そこの社長は違いました。伊藤さんの言っている中身は間違っていない。ただ、言い方がキツくて、周りにストレスを与えている点が問題でした。そこで、彼の配属を中国人が多い部署に移します。すると、日本語がよくわからない中国人スタッフにとっては、淡々としゃべる人よりも、表情や声のトーンで緊迫感が伝わる伊藤さんの表現の方がわかりやすい、ということで、仕事がスムーズに行ったのです。資質と環境でパフォーマンスが変わることを実感しました。


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