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2015年6月10日 (水)

Vol.194『能力や行動力に頼らず成果を生む着眼点とは?』

コンサルティングの現場で人の相談に乗っていると、時々感じることがあります。
「問題解決のときに多くの人が、能力や行動に頼りがちだな」と。

わたしが人の相談に乗るときは「型」があって、4つのステップで会話を進めます。
まず(1)相談ごとにタイトルをつけてもらい、(2)それについての現状を聞き、(3)理想の姿を聞き、(4)その理想に到達するための条件を質問しながら一緒に考えていきます。

その(4)のステップで多くの人は、「どんな能力を身につければよいか」「どんな行動を起こせばよいか」と考えがちです。もちろん、それも大切な着眼点です。ただ、それだけだと 成果が本人の努力に依存する ため、成果が持続しにくいこともあります。

そこでわたしが意識していることは、「どんな環境を整えれば、理想の姿に近づくのか?」です。「環境」へのアプローチは努力に依存しないので成果が持続しやすいメリットがあります。
いくつか事例を紹介しましょう。

たとえば、ヨーロッパの国際空港の男子トイレで、清掃費用を削減したアイデアをご存知でしょうか。ハエのシールを男性用小トイレ内に貼ったところ、使用者が周辺を汚さなくなり、年間億単位の清掃費用の削減が実現した、という有名な話があります。

また、これは建築に詳しい方に教えてもらったのですが、駐車場で隣との境のラインが1本の場合と2本ある場合とでは、2本の方が運転手がちゃんと真ん中に停めるようになるそうです。

そこで、来客用の駐車場を持つお店が今まで10台停めていた駐車場にラインを2本線で引き直したら、11台停められるようになったとのこと。これは、車一台分の家賃が月1万円だった場合、年間12万円のコストダウンになります。あるいは、機会利益という視点で見れば、今まで車10台分のお客さんが上限だったのが、11台分のお客さんを同時に受け入れることができ、その分の売上アップの可能性が生まれる、とも言えます。

何か問題が発生したときに、「どんな環境を整えれば、理想の姿に近づくだろうか?」
この質問を生活やビジネスに取り入れてみると、今までと少し違った景色が見えるかも。


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