Vol.180『良い戦略は、◯◯としても面白い!』
戦略の実行にとって大切なのは、数字よりも筋の良いストーリーです。過去を問題にしている場合であれば、数字には厳然たる事実としての迫力があります。しかし、未来のこととなると、数字はある前提をおいたうえでの予測に過ぎません。戦略は常に未来にかかわっています。だから、戦略には数字よりも筋が求められるのです。 <中略> 見える化という思考様式は戦略にとっては役に立たないどころか、ものの考え方が戦略ストーリーの本質からどんどん逸脱してしまいます。戦略にとって大切なのは、「見える化」よりも「話せる化」です。戦略をストーリーとして物語る。ここにリーダーの本質的な役割があります。 <中略> ストーリーがないと、能力重視の経営は、「うまくやれ」「なんとかしろ」という単なる現場依存になりがちです。これでは単なる戦略不在になってしまいます。 |
(『ストーリーとしての競争戦略』
楠木建 著
東洋経済新報社新潮新書 P.52より引用)
良い戦略は、ストーリーとしても面白い。そんなことに気づかせてくれた1冊です。
そもそも戦略という言葉の定義が人によってかなり違うと思うのですが、この機会にわたしなりの戦略の定義を言語化してみました。
戦略とは、望む期限までに目的地に到達するための道筋を示す、ユニークなシナリオ(筋書き)のこと。たとえば次のようなことを考えると、その答えがシナリオになり、戦略っぽくなります。
● 今、置かれている状況はどうで、どこに課題があって、
なぜそれがこれまで解決されずにきたのか?
● そして、これからそれを解決する道があるとしたら、
どんなユニークな点に着目する必要があるのか?
● そこに着目すればうまく行きそうに感じるが、それでもなお、
うまく行かない落とし穴が潜んでいるとしたら、それは何か?
● その落とし穴にハマらずに、望む期限までに
目的地に到達するために進むべき道はどれか?
● なぜ、あなたには、それができる正当性があるのか?
そして、そのストーリーが面白ければ、人は惹きつけられ、集まってきます。それは、1商品レベルでも、1事業レベルでも、あるいは全社レベルでも同じこと。
戦略策定は、ストーリーを描くがごとく、楽しみながらやりたいものだ、と感じました。
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