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2012年3月25日 (日)

Vol.155『そのシステムは欲しい結果をもたらしているか?』

例えば、政治家が貧困に悩む人助けようと思って、最低保障賃金を法律で設定します。これで、誰もが一定の収入が得られて、貧しい人がいなくなると考えるのです。しかし、実際は逆効果になるのです。その賃金だけの価値を作り出せない人を雇ってはならないということになり、失業者が増えるのです。つまり、最低賃金を1時間1000円に設定すれば、1時間1000円の価値を作り出せない人は雇ってはならないということです。

ある若者は、800円の価値しか作り出せないとしましょう。この人は仕事が得られないのです。そして、仕事ができないので、いつまでたっても、自分のスキルを高める機会に恵まれません。ですから、1000円を稼げる人間に成長していかないのです。そこで、この人は生活保護の対象になり、政府のお金で生活するようになります。もちろん、政治家がその結果を意図したわけではありませんが、システムを十分に理解していないために、そのような結果になってしまうのです。

(『略奪大国 ジェームス・スキナー 著
フォレスト出版 P.128より引用)

環境が変われば、それにあわせてシステムも柔軟に変えていくことは大切ですね。
昔ながらの職人の世界で、「給料は食べていけるだけあればいいので、成長させてほしい、技術を身につけさせてほしい」という業界では、社長にとっても社員にとっても最低賃金は邪魔なシステムでしかありません。芸人の世界では実質的にそのような環境が今でもあるようですが、一般企業では何かと足かせになっているところがあります。

また最近では「基本給を一度上げたら、よほどの理由がない限り、下げられない」となると、経営者は怖くて社員の給料を上げられなくなっています。今はたまたま業績がよい会社でも、それが来年以降も続く保証はないからです。仮に順調にいっていると思っている最中に、震災や水害で本業がままならないことが現実にあり得ることを知ってしまった今では、なおさらのこと。これも、労働者保護のために法律が会社に対して要求していることですが、逆効果と感じずにはいられません。

家庭においても、給料が素通りで妻の口座に振り込まれ、夫はいくらもらっているかも把握していないケースはよく聞きます。これでは、自分の仕事ぶりを客観的に見つめ、発奮するきっかけを失ってしまいます。このように、システムが弊害を生むことは、国単位でも会社単位でも、あるいは家庭単位でもあることです。大切なのは、それが弊害になるとわかった時点で、見直す機会をあらかじめ用意することではないでしょうか。
はじめから「これは絶対にうまくいく」と保証されたシステムなどないのですから。

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