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2011年3月 3日 (木)

Vol.143『相談に乗るとき、一番大切なのに見落としがちなこと。』

イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現することを徹底する。
当たり前に聞こえるかもしれないが、多くの場合、これをやれと言われてもうまくできない。なぜ言葉にできないのかといえば、結局のところ、イシューの見極めと仮説の立て方が甘いからだ。
言葉にすることで「最終的に何を言わんとしているのか」をどれだけ落とし込めているかがわかる。言葉にするときに詰まる部分こそイシューとしても詰まっていない部分であり、仮説をもたずに作業を進めようとしている部分なのだ。

(『イシューからはじめよ
安宅和人英治出版 P.51より引用)

ここで言うイシューとは、「何について答えを出すべきか」を考え抜かれた問題提起のこと。
これは、わたしが経営者やビジネスパーソンの相談に乗るときに、もっとも大切にしていることです。通常、相談に乗るときの流れとして、相談案件について、「現状は?」「理想は?」「理想と現状のギャップは?」「そのギャップを縮めるための条件は?」と順を追って確認していきます。しかし、これだけでは的を外したやりとりをしてしまう恐れがあります。
それは、たとえば次のような事例をみると、明らかです。

長年務めた会社を辞め、IT活用コンサルタントとして独立した佐藤さん(仮名)。彼の相談は、「独立してお客さんを獲得すべく、どう営業展開するか?」というものでした。ここでもしわたしが彼の言葉を鵜呑みにして「新規開拓の方法論」を深堀りしていったとしたら、きっと彼が行動に移ることはなかったでしょう。なぜなら、彼が解決すべき最重要テーマはそこではなかったからです。

質問を重ねていったところ、彼が心の奥底で無意識に悩んでいたことは、「前職の会社と競合関係になることで義理を欠く罪悪感と、『後で叩かれるのでは』という不安感」でした。
そこで、「どのような罪悪感を持っているのか?」「叩かれるとは、具体的にどうされることか?」の2点にスポットライトを当てたところ、一瞬にして解決策が彼の口から出てきたのです。ちなみにそのときのケースは、「罪悪感は単なる考え過ぎであり、あいさつにいって良い関係をつくれば大した問題はおきないこと」が判明しました。

そしてさらに面白いことに、そこが昇華されたからか、1ヶ月後には複数の仕事の話が舞い込んできたとのこと。そこは偶然かも知れませんが、彼にとっては解決すべき最重要テーマは、「新規開拓の方法論」ではなくブレーキの解除、つまり「罪悪感と不安感の解消」だったのです。解決策を考える前に、「何を考えるか」をきちんと見極めたいものです。

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