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2010年6月

2010年6月 1日 (火)

Vol.134『人間は“非合理的な生き物”である前提で。』

歴史が、人間の欲望によって動くことを知ったわたしは、心理学に強い関心を抱くようになりました。心理学の本を大量に読み、そこから「人間はいかに非合理的な行動をする生き物であるか」ということを感じたものです。
合理的な判断ができれば、王朝や帝国が衰退するはずがありません。欲に目がくらんだり、おごり高ぶったりすることで、目の前に起きている現実を冷静に判断できなくなり、自滅の道へ歩を進めてしまうことが多いのです。
数千年に及ぶ有史以来の歴史の中で、そうした過ちが何度も繰り返されてきたのです。

『経済予測脳で人生が変わる!』 中原圭介 著 
ダイヤモンド社   P.80より引用

先日、ビジネスパーソンのキャリア・アップに関する本の仮原稿を数人に渡して感想を求めたときの話です。彼らから出てきた言葉は、共通していました。
「言っていることは正しいけど、重いよね」。
原稿を改めて読み返すと、たしかに正論がとうとうと書きつづられていました。
(う~ん、たしかにこれでは途中で読み疲れて、最後まで読んでもらえないなあ・・・)

わたしはコンサルタントという職業柄、「合理的な考え方」をするクセがあります。
それは経営相談の際に、複数の選択肢の中から、「長期的な目線で」「その周辺に及ぼす影響を予測して」ベストな結論を出そうと熟考を重ねるからです。
この「合理的な考え方」は、問題解決を必要とする場面では大切だし、役に立ちます。
ところが、本の執筆やセールスレターの文章作成においてはそうとも言えず、いつも頭を悩ませてしまいます。

それは、「読み手が共感を持って話の続きを読もう」という状態に導くのをすっ飛ばして、「こういうときは、こうするといい」と合理性ばかりを強調してしまうからです。
わたしは伝えたいことが強ければ強いほど、このようなことにおちいりがちです。
頭が熱くなって、「人は非合理的な面を持ちあわせている」という前提を見落としてしまっているのです。
「正しいことを言っているのに、なぜか理解してもらえない」「共感してもらえない」と悩んでいる人の話を聞くと、同じような状況になっているようです。

「合理性=正論」「非合理性=感情論」で、そもそも人間は非合理的な行動をする生き物だ、
という前提に立つことを忘れないようにしたいものです。

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Vol.134『経営効率の追求は、お坊さんの修行にも通ずる。』

経営者は、どこで経営を学ぶのでしょうか?学校で習うことはほとんどないので、大抵は現場で試行錯誤しながら手にしていくのだと思います。そんな中、わたしの親しい  
あるドクターが、思いがけないアプローチで経営効率を追求されていて、ビックリしました。

わたしが知る多くのドクターは、医療はスペシャリストだが、数字は苦手。たとえば「仕入先の合見積りをしたほうが良いと知っていても、面倒だからやらない」方がほとんどです。医療に専念したほうが、トータルでメリットが大きければそれで良し、といったところです。
  ところがそのドクターは、違いました。
彼が自宅と医院を建築したときのこと。ふつうは設計士に丸投げか、少なくとも設計士に主導権をにぎられているもの。しかし彼は、図面にチェックを入れ、どうすればローコストに抑えられるかを分厚い資料を読みこんで勉強します。電球1つから何を使うかを費用対効果まで調べ上げ、設計士に提案し、ありえない小予算で建物をつくりあげたのです。

いったん建てたら、何十年と使い続けることを考えると、入り口で妥協はできないのでしょう。また、日々の消耗品の仕入れにおいても、仕入業者をリストアップして、「何をどこで仕入れるともっともリーズナブルか」を考えます。それを、医療品質と両立してやれていることが驚きです。彼の目線は、まさに「儲けを出す社長のお金目線」そのものでした。それは具体的には、①時間軸を長くとらえ、②早くモトをとる発想です。
  
しかし日頃、経営を学んだこともなく、まったく商売っ気のないドクターが、なぜそこまで考えつき、そして実行できるのか?そのワケを尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
彼は、かつて出家した経験があり、お坊さんの修行の中に「殺生」という発想があるのだとか。この「せっかくいただいたものは、1mmたりとも無駄にしてはならない」という「もったいない」という気持ちが、「使う以上は、120%モトをとる」という発想につながっていたのです。

それにしても、利益を追求する社長の目線が、お坊さんの修行に通じるとは、ビックリでした。ゴールに到達するための入り口は、思った以上にいろいろあると実感したお話でした。

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今月の本棚 【2010年5月】

1)日本一のホームページ成功請負人が教える究極のネット集客術

 湯浅淳 著/実業之日本社

顧客視点で出たアイデアを1つずつ表現すると、ユーザーに支持される。

そのためには友人に見てもらおう。

2)やるきのスイッチ実践セミナー

 山崎拓巳 著/サンクチュアリ出版

3)スリー・カップス・オブ・ティー

 グレッグ・モーテンソン デイヴィッド・オリヴァー・レーリン 著/サンクチュアリ出版

4)経済予測脳で人生が変わる!

 中原圭介 著/ダイヤモンド社

経済予測脳を身につけるには、経済学のほかに

歴史学、心理学、哲学が有益である。

5)不機嫌な女子社員とのつき合い方

 北山節子 著/ポプラ社

6)わかりやすい融資実務マニュアル

 黒木正人 著/商事法務

7)行動科学で人生を変える

 石田淳 著/フォレスト出版

行動するかどうか、その行動を続けられるかどうか、

が夢実現のポイント。

8)Me2.0

 ダン・ジョーベル 著/日経BP社

9)やるからできる

 久保ひろし 著/PHP研究所

人とのご縁をつくるきっかけは、相手によろこばれる提案と

相手の心にフックする情熱の両方が大切であることを思い出させてくれる。

10)アンガー・マネジメント

 安藤俊介 著/大和出版

イライラムカムカが日常化している人は、そのメカニズム

にフォーカスしよう。

11)会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ

 齊藤正明 著/マイコミ新書

人間は幸せの中にいるときは、幸せに気づかない。

そこから離れたときに、そのありがたみに気づく。

12)星野リゾートの教科書

 中沢康彦 著/日経BP

徹底的に教科書を実践する経営者の話には、

武道の「守・破・離」に通じる。

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