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2010年3月 2日 (火)

Vol.131『時間とお金、どちらを優先するか?』

子どものときは、お金よりも時間を多く持っているだろう。だから、手間がかかっても無料のMP3ファイルの交換をするしかない(でも違法だ)。かつてスティーブ・ジョブズは次のように指摘した。P2Pのサービスで音楽をダウンロードすれば、問題のあるファイルフォーマットを扱うことになりやすい。アルバム情報がなかったり、目当てでない歌がダウンロードされたり、音質が悪かったりする可能性がある。お金を払わないために時間をかけることは、「最低賃金以下で働いていること」を意味するのだ、と。それでも、時間がたくさんあってお金がなければ、それは合理的行動になる。そういう人にとってタダは正当な価格なのだ。だが、年をとって時間とお金の関係が逆になると、正規のダウンロードにかかる99セントはたいした金額に思えなくなる。そうすると、フリーミアムの世界において、お金を払う顧客になるのだ。

『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』 クリス・アンダーソン 著
致知出版社 P.92より引用

かつて、「1円玉が落ちていても拾ってはいけない。それを立ち止まって拾う時間分、働いたほうがお金になるからだ」というような話を聞いたことがあります。極論ですし、それが倫理的観点からどうかは別として、経済合理性だけで見れば、そういう発想もあると思います。この場合、時間とお金、どちらを優先するかという議論になっています。
冒頭に紹介したトピックも同様で、お金と時間をどれだけ持っているかによって、判断が違ってきます。

たとえばトイレットペーパーの買い置きを切らしたことに気づいたときに、近所のスーパーやコンビニではなく、わざわざ遠くの混雑している格安ドラッグストアまで買いに行くのも同じ行動原理です。
さらには、「毎週火曜日はWポイントデー」などと謳われると、火曜日まではポケットティッシュで代用して我慢する人もいます。そのポイント数の金額換算が、100円の購入に対して3円だったとすると、「たかだか3円得するために、不便な生活をするのが果たしてトクなのか?」と、わたしはいささか首をかしげたくなりました。
わたしの考えは、 【ポイント3円分トク】<【数日間の不便さの解消】 だからです。

しかし、その人には「ポイントが貯まることの喜び、達成感」という心の充足がありました。だとすると公式は【心の充足+ポイント3円分トク】>【数日間の不便さの解消】となります。心の充足という観点は、ある意味、趣味と同列のエンターテイメントになるので、もはや経済合理性だけで測れなくなります。時間とお金、どちらを優先するかを議論する際には、同時に「それがどれだけ心の充足に影響するか」もあわせて考える必要がありそうです。

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