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2010年2月 3日 (水)

Vol.130 『お客さんの反応が見える仕事の仕方をする。』

辻さんはもともと東京・三鷹で働いていたという。しかし、農業を営む両親が年老いてしまい、帰って来いという。いまさら熊本に帰ってもと迷ったが、やむなく帰った。家業を手伝いながらタクシー運転手をして、生計を立てた。十四年前のことである。最初は普通の運転手だった。「料金は何千何百円です」料金をもらってお釣りを渡す。また新しい客を拾って走り、お金をもらう。そのうち金銭のやり取りだけでは満足できなくなった。
もっとお客様のお役に立ちたいとさまざまな工夫をするようになり、それが喜ばれた。
じゃあ、もっと工夫しようと努力して、お客様と喜びの受け渡しをするようになった。
「私はいまでは、タクシー運転手をやっていてよかったと思いますよ。反応が直接見えるので、励まされますし、時には反省もさせられます。お客様の反応が見えるというのは最高の仕事じゃないでしょうか」 まったくもってこの人には感動してしまった。
仕事とはこういうものなんだ、私は教えられた思いで熊本空港で降りたのだった。

宇宙の響き 中村天風の世界』 神渡良平 著
致知出版社 P.387より引用

工場内で働く製造業や、書類と格闘する事務仕事では、ややもするとお客さんの存在が頭から抜け落ちて、目の前の機械やパソコンに意識が奪われがちだったりします。それがやりがいや向上心・目的意識の欠如につながることもあるようです。

わたしの仕事は、個別コンサルティングやセミナーが中心で、常にお客さんを目の前にしています。なので、「この人の役に立とう!」という目的意識も強く持てるし、全力を尽くした結果、感謝の声をいただく醍醐味を実感しています。しかし、本やレポートの執筆作業は、目の前に読者がいません。ひたすら自分と向き合うことになります。打てば響く醍醐味を知っているわたしにとって、書いても書いても、何もリアクションがこない執筆作業は、正直しんどい仕事です。相手不在で、自分が言いたいことを独りよがりに書き綴ってしまうことも多々あります。では、「どうすればこの執筆作業にやりがいと楽しみを感じながらやれるのか」、ずっと考えていました。

そして行きついたところは、「お客さんの反応が見える」工夫をする、ということ。
たとえば、本の構想が浮かんだ時点で、読者層にあう人に読んでもらい感想をもらう。
本の内容を、文字にする前にセミナーでお話しして参加者の反応を見たり、感想をもらう。
本が出版されたら、読者プレゼントをWEB上に用意して、それに申込みする際に感想を送ってもらう仕組みを用意する、など。つまり、途中段階でいくつもフィードバックをもらえる状況をつくっておくのです。そうして、お客さんの反応が見える環境をつくっていくことで、モチベーションがあがり、クオリティも維持・向上していけるようになりました。仕事を楽しむコツは、孤独に陥らず、いかに周りを巻き込むかだと感じます。

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