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2009年12月 1日 (火)

Vol.128 『お客さんの望みと自分の欲求を取り違えない。』

先日、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」を観に行きました。ロンドン講演の直前まで行われていたリハーサル風景を中心に、
彼のヒット曲で構成されたドキュメント。わたしは高校時代から好きで彼のCDを聞いていたので、純粋に音楽を楽しみに行きました。しかし実際は、それにとどまらず、スクリーンの中に、世界トップのエンターティナーの仕事の徹底ぶりを垣間見た思いがしました。

とくに印象的だったのは、音の出し方へのこだわりです。
キーボード演奏者に対して、マイケルが何度もダメ出しをします。彼のリクエストは、
「原曲に限りなく近づけてほしい」というもの。
たしかにステージ上で歌うマイケルの歌声、歌い方、すべてわたしがCDで聞いたそのままでした。かといって、決して口パクじゃなく、ちゃんと歌っているのがわかります。
それを、楽器の演奏にも求めていたのでした。

たまに日本で「なつかしのあの曲」などの特集で、20年ぶりにかつての大ヒット曲を本人が登場して歌を披露する番組があります。が、そのほとんどは語尾や途中の言い回しに勝手なアレンジが入り、歌い方を変えています。歌手本人としては、「変化を持たせたいというサービス心」もあるのかも知れないし、「進化しているんだ」というアピールをしたいのかも知れません。でも聞いているほうは、少なくともわたしや妻はいつも、それが不満なんです。なぜなら、ヒット曲を聞く時、わたしたちは当時の思い出や感情を心の中で再現しながら聞きます。つまり、歌は一瞬で非現実の世界に時間旅行させる力があるのですが、歌い方を変えられると、頭の中で口ずさむ歌とタイミングがずれて、一気に現実に引き戻されて冷めてしまうからなんです。

でもこれはひとごとではありません。わたしもセミナーで、つい定番ネタを外しそうになったことがあります。自分の中で当たり前になってしまい、つい言い忘れてしまったのです。
でも初めてセミナーに参加される人のほうが多かったりします。ならば、講師が話し飽きたからといって、勝手に端折っていいわけがありません。「お客さんが何を望んでいるか」を熟知しているマイケルに、基本の大切さを教わった気がしました。

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