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2009年2月

2009年2月25日 (水)

Vol.119 『その議論は“前提”が間違っていないか?』

ある製造メーカーの業績会議でのこと。不良率を下げることをスローガンに掲げるにあたり、この1年間の不良率とロスの金額が書かれた報告書が参加者に配られました。
それを見ると、1か月あたり何十万円、多い月は百万円を超えるほどのロスが発生していると書かれています。会社の売上規模からすると、これは利益を大幅に圧迫する事態です。
その報告書を見た社長は、みるみる表情が変わっていきました。
「いったい、何をやってんだ!こんなにロスが出ていたら、利益が出るわけがないだろう!」

もっともな話です。現場責任者の工場長は、呟きます。
「いや~、そんなに言うほどはロスはないはずなんですけどね~」

しかし、経理担当者は言い返します。
「いえ、ちゃんと現場から出てきた数字を拾って出しているので、間違いはありません」

会議室の空気が重くなる中、ちょっと気になったわたしは、ある質問を投げかけました。
「この不良によるロスの金額は、“販売額”ベースか“原価”ベースか、どちらですか?」
つまり、「正常につくれていたらこの金額で売れていたはず」という、自社の見込み利益を乗せた“販売額”ベースか、それとも「実際に会社が負担したコスト」つまり原材料や外注費などの原価だけを乗せた“原価”ベースか、どちらですか?と尋ねたのです。

確認していくと、“販売額”ベースでの算出になっていました。たしかに仕事が一杯で、「つくればつくっただけ売れる」ときであれば、“販売額”ベースでの計算でいいでしょう。
しかし、いまは発注量が少なく、受け皿に余裕がある状態。ならば、実質的なロスは原材料と外注費だけなので“原価ベース”ではじき出すべきです。
前提が「仕事量>受け入れ余力」のときと「仕事量<受け入れ余力」のときとでは、考え方がまったく違ってくることを見落としていたわけです。
そこで、前提をそろえて数字をはじき出すと、さほど問題ではないことがわかりました。
危うく、ゴールのない議論を積み重ねてしまうところでした。人によって“前提”が違うことは多い。建設的な議論をしたければ、まずは前提を確認してからにしましょう。

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Vol.119 『切り返しのトレーニングを積む。』

仮に「おまえのところが高い」と言われて、「申し訳ありません」とへこんでしまう営業担当者がいたら、「高いからその分、良い商品なのですよ!」と堂々と対応するよう、私は指導するだろう。顧客に「この景気が悪いときに、高いものなんかいらないよ」などと言われたとき、シュンとなってしまって、「高いから駄目でした」と報告する営業担当者は、高いと言われた瞬間、思考停止になっているスタンスがまずい。顧客にマイナスのことを言われたら、「だから、いいんですよ」と返せる癖をつけるのは、営業担当者のすべきトレーニングの1つだ。「景気が悪いから○○が必要だ」、あるいは「高いから実績があがるし、成果が出る」といった説明パターンを教え、さらにツールも用意しておくとよいだろう。

(『レバレッジ・マネジメント』 本田直之 著
東洋経済新報社 P.147より引用)

頭じゃわかっているけど、実際にはなかなかできない。そんなことって、ありますよね。上で紹介した営業の場面はその最たるものですが、テレビでバラエティ番組を見ていると、「切り返し」のうまい芸人と下手な芸人の違いがよくわかります。

たとえば島田紳助。彼はゲストをいじりながらフリートーク中心で進行する司会者として、確固たるポジションを築いています。ゲストの後輩芸人に突っ込ませておいて、瞬時に切り返して爆笑をとる。そのキレの良さは、あの世代の芸人の中ではピカイチではないでしょうか。一方で、ロクにリアクションができず、場の空気を悪くする芸人もいます。そういう人は、近いうちに淘汰されていく。なぜ、島田紳助はあれだけ上手に切り返せるのでしょうか?ぱっと見は、その場のフィーリングで、彼特有の才能だけでやっているように見えますが、わたしは違うと思っています。彼なりのトレーニングの結果である、と。

彼はもともと漫才師で、たった10分のネタのために緻密な反復練習を積み重ねた時代がありました。オチに行く前の前フリにリアリティを持たせるための感情的なしゃべり方。わざと間違えたフリをして慌てた表情を見せるところ。相方にどう突っ込まれるかを想定してボケを言うところ。すべて最終的に「笑わせる」というゴールからの逆算で考え、反復トレーニングをしたそうです。ましてや、トーク番組は漫才と違って、相手が予期せぬトークを振ってくることだってあります。それを上手に操縦するには、一定のパターンを身につけておかなければ、丸腰で戦場に向かうようなものです。相当な訓練をしたはず。

それに比べれば、ビジネスや営業においてお客さんから聞かれて言葉に詰まる質問は、そんなにたくさんありません。せいぜい、5,6個ぐらいではないでしょうか。ならば、その想定できる質問に対する切り返し方ぐらい、きっちり準備してビシッと決めれば、欲しい成果は出せると思うのですが、いかがでしょうか。

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今月の本棚 【2009年2月】

1)レバレッジ・マネジメント
 本田直之 著/東洋経済新報社

自社の話は、業界全体の周辺情報を含めたものにしよう。

2)うちの社長は、なぜ「ああ」なのか
 石原明 著/サンマーク出版

3)アメリカが隠し続ける金融危機の真実
 ベンジャミン・フルフォード 著/青春出版社

4)自分のまわりにいいことがいっぱい起こる本
 原田真裕美 著/青春出版社

5)世界一受けたいお金の授業
 和仁達也 著/三笠書房

経営者ではなく、サラリーマン・OL目線で、経済や数字に強くなり、
たくましく人生を生き抜く知恵を盛り込んだ、著者渾身の1冊。

6)大河にコップ1杯の水
 宇城憲治 著/合気ニュース

7)島田紳助はなぜ好きな事をして数十億円も稼ぐのか
 久留間寛吉 著/あっぷる舎

タレントに学ぶライフステージの築き方、
ステップアップの考え方は、ビジネスパーソンも必読。

8)月曜日の朝からやる気になる働き方
 大久保寛司 著/かんき出版

9)いのち輝くホスピタリティ 
 望月智行 著/文屋

10)別冊カドカワ総力特集 布袋寅泰

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