Vol.91 『わたしは何を提供したいのか?』
|
( 『顧客は追いかけるな!』 ジャン・ストリンガー&ステーシー・ホール 著
ダイヤモンド社 P.132より引用)
本やセミナーなどで経営の勉強をしていると、「作り手の発想を市場に押し付ける(プロダクト・アウト)のではなく、市場が求めているものをくみ取って、そこからサービスを開発することが大切だ」というマーケットインの思考を持つよう促されます。これは、確かにもっともらしいので、「じゃあ、お客さんの声を調べよう」と市場調査にばかりエネルギーを費やすと、求めることが多岐にわたりすぎて収集がつかず、結局は平均的で面白みのないところに落ち着いた、なんて話を聞いたこともあります。
コンサルタント志望者にも、「クライアントとなる経営者が求めるノウハウは何だろう?」といろいろなセミナーをはしごする割には、提供したいサービスを定めることができず、フラフラと探し求め続けている人は少なくありません。そういう意味では、発想を逆転して、「わたしは何を提供したいのか?」から入ることも時に大切。
わたしが独立した頃に行ったのがまさに「自分にとっての完璧な顧客はどういう人か」を紙に書き出す作業でした。独立当時のプランを読み返すと、次のように書いてありました。「前向きで、一生懸命で、思いやりのある経営者の『経営理念の実現化』を支援する」「お客様が『パッと見てわかる』『一回聞いて理解できる』くらいわかりやすい研修・資料づくりを行う」 表現は今とは少し違いますが、結果的にその後その通りのクライアントを引き寄せ、そのようなセールスポイントで仕事をしていきました。新しい事業展開を考えていて行き詰まったときは、ちょっと一休みして、「当社にとって完璧な顧客の条件は何か?その人(会社)に何を提供したいか?」を考えてみると、新しい発見があるかも知れませんよ。
| 固定リンク
「今月のワニレポ(今月の一冊から)」カテゴリの記事
- Vol.313『人生100年、長寿化時代に自社がもたらす価値を考える。』(2025.05.25)
- Vol.312『個別の打ち手をつなげて独自のストーリーをつくる。』(2025.04.25)
- Vol.311『苦手なことを克服するコツ。”苦手克服筋”を鍛える!』(2025.03.25)
- Vol.310『日々を充実させる鍵は、“時間に限りがある”ことの実感。』(2025.02.25)