Vol.90 『目に見えない仕組みを理解した上で、絵を描く』
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( 『英雄の哲学』 矢沢永吉 イチロー 著 ぴあ P.46より引用)
矢沢永吉にしてもイチローにしても、その世界で一流を極める人は、そこまでいくための条件をちゃんと勉強している。芸術分野やスポーツなど、芸や技を表現していく仕事の場合、昔ほどではないにせよ、未だにお金の話をすると「やらしい」みたいに思われる(と思い込んでいる?)ようです。医療の世界も似たところがあります。しかし、プロとしてやっているのなら、お金の話はして当然。だって、お金はこちらが与えた価値を数字で表現したものなんですからね。もちろんスマートな言い方というものはあるでしょうが、やはり、価値とお金は両輪でしょう。
わたしはこれまで、いろいろな業種のコンサルティングをしてきましたが、最初に目を向けるのはお金の流れ、すなわち価値の流れです。それぞれの業種業態において、お客さんとの力関係、需給のバランス、業界慣習などがあって、独特のお金の流れ方をしています。
たとえば、美容院ではお客さん本人からお金を全額払ってもらいます。したがって、仕上がりやそのプロセスに支払う金額相当の価値を感じなかったら、「次は来てくれないかもしれない」と危機感をもちます。しかし、歯科医院では、保険治療だと患者さんは治療総額の3割しか支払わなくてすみます(残りの7割は国から振り込まれる)。そのような仕組みの違いがある中では、緊張感も違えば、改善努力の必死さも違ってくるのは当然ではないでしょうか。つまり、お金の流れが変われば、それに合わせてスタンスや動きも変わる。
今、医療改革はじめ、政治、教育、人口、税制、法務、憲法など、あらゆる分野でこれまでとは仕組みが変わっていく時代です。その新しい、目に見えない仕組みの上で、どんな絵を描くのか、じっくりと考えていきたいものです。
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