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2006年10月

2006年10月 1日 (日)

Vol.90 『目に見えない仕組みを理解した上で、絵を描く』

僕はなぜ印税のことをすごく勉強したか、なぜ芸能界の仕組みをもっともっと知りたかったのか。それはただ歌うだけじゃダメだってこと、そのことを早くから僕は感じていたからですよ。だから、裏の仕組みはどうなってる?マネージメントの取り分はどうなってる?ロイヤリティっていうのは、どういう仕組みになってるんだ?俺たち歌手っていうのはただ単にアーティスト印税だけもらって、歌ってキャーキャー言われてるだけ。そのわりには海の向こうの外タレなんか、一発当てたらバッカーンっていくのに、俺たちは、ヒット飛ばしてるわりには、メルセデス一台も乗れないってのは、一体なんなんだ?それが僕がデビューしたときの疑問であり、その当時の日本の芸能界の現状だったからね。これ、違うと思った。あのビートルズは、一発当たったらこんなに魅力的なことがあるんだぜってことを教えてくれたんですよ。こんな俺たちだって、なにかできるんだってことを教えてくれたんですよ。だからこれ、なにか仕組みがあるんだろうって思った。

( 『英雄の哲学』 矢沢永吉 イチロー 著 ぴあ P.46より引用)

 矢沢永吉にしてもイチローにしても、その世界で一流を極める人は、そこまでいくための条件をちゃんと勉強している。芸術分野やスポーツなど、芸や技を表現していく仕事の場合、昔ほどではないにせよ、未だにお金の話をすると「やらしい」みたいに思われる(と思い込んでいる?)ようです。医療の世界も似たところがあります。しかし、プロとしてやっているのなら、お金の話はして当然。だって、お金はこちらが与えた価値を数字で表現したものなんですからね。もちろんスマートな言い方というものはあるでしょうが、やはり、価値とお金は両輪でしょう。

わたしはこれまで、いろいろな業種のコンサルティングをしてきましたが、最初に目を向けるのはお金の流れ、すなわち価値の流れです。それぞれの業種業態において、お客さんとの力関係、需給のバランス、業界慣習などがあって、独特のお金の流れ方をしています。

たとえば、美容院ではお客さん本人からお金を全額払ってもらいます。したがって、仕上がりやそのプロセスに支払う金額相当の価値を感じなかったら、「次は来てくれないかもしれない」と危機感をもちます。しかし、歯科医院では、保険治療だと患者さんは治療総額の3割しか支払わなくてすみます(残りの7割は国から振り込まれる)。そのような仕組みの違いがある中では、緊張感も違えば、改善努力の必死さも違ってくるのは当然ではないでしょうか。つまり、お金の流れが変われば、それに合わせてスタンスや動きも変わる。

今、医療改革はじめ、政治、教育、人口、税制、法務、憲法など、あらゆる分野でこれまでとは仕組みが変わっていく時代です。その新しい、目に見えない仕組みの上で、どんな絵を描くのか、じっくりと考えていきたいものです。

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Vol.90 『“お客さんが必要としていること”と、“わたしに期待していること”は、わけて考える』

 お客さんが必要としていることは何か?何に困っているのか?」それを考え抜いた先に、商品やサービスの種がある。営業のときも、それをきちんとわかっていなければ、的確なトークができない。よく、そういう話、聞きますよね?たしかにそうなんですが、同時にもう1つだけ考えておきたいことがあります。それは、「お客さんがわたし(の会社)に期待していることは何か?」という問いの答えです。

たとえば、わたしは本やレポートなどの執筆業務をする仕事柄、よく肩や首筋、肩甲骨のあたりが凝ります。したがって、「コリのない、ラクラクな身体と精神状態」が必要で、これを満たすために、複数の人(お店)に助けを求めます。

1つは、身体の構造や氣、整体、その他の専門技術を持つボディコーディネーターのお店。もう1つは、アロマオイルを使って、香りとマッサージで癒しとくつろぎ、ラグジュアリー感を味わうアロママッサージのお店。どちらも、「コリのない、ラクラクな身体と精神状態」を手に入れるために行く点は同じなのですが、わたしが期待していることは微妙に違います。

アロママッサージのお店は、わたしにとって非日常の気分転換と自分へのご褒美です。したがって、技術のほかに接客態度や空間の雰囲気、BGMなどの環境の演出が重要になります。

ボディコーディネーターのお店は、身体の使い方についての気づきと再教育が目的です。したがって、ここでは環境の演出よりは、わたしの身体に対する理解と、先手を打ったアドバイスに期待する比重が大きくなります。このとき、サービス提供者は「自分に期待していることは何か?」をきちんとわかってサービスの改善をしていかないと、ピンボケな方向に努力してしまうかも。ときには、直接お客さんに尋ねてみるのも手かも知れませんね。

わたしの場合、クライアントが必要としていることは「立場の違いからくる社内のコミュニケーションのミゾを解消したい」「ドンブリで漠然とした不安を解消したい」で、わたしに期待してくださることは、「その間に入ってギャップを埋めること」「先の見通しをわかりやすくビジュアル化すること」だと思っています。しかし、これも時間とともに移り変わっていくもの。ときどき、クライアントに何を期待されているか、尋ねてみようと思います。

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今月の本棚 【2006年9月】

1)「五つの傷」
リズ・ブルボー 著/ハート出版

自分自身あるいは周りの人の、理解できない言動の理由がわかる手がかりが得られる。

2)「ご褒美人生マレーシア」
坂本恭彦 著/イカロス出版

3)「タイでロングステイ」
ラシン編集部 編/イカロス出版

4)「日本脱出マニュアル2005-’06」
安田修 著/羊土社

5)「星の王子・王女たちの留学物語」
丹羽健夫 監修/文藝春秋企画出版部

学生が海外で受ける感性を体感できて、すがすがしい気持ちになれる。

6)「父親よ!わが子と向き合って人生を語れ」
ケント・ネルバーン 著/PHP研究所

7)「リコネクション」
エリック・パール 著/ナチュラルスピリット

飛ばし読みしようと思ったら、ひきこまれて小説のように楽しみながら読んでしまった不思議な世界の話。

8)「顧客は追いかけるな!」
ジャン・ストリンガー&ステーシー・ホール 著/ダイヤモンド社

これまで無意識にやっていた「理想の顧客を引き寄せる方法」を きちっと体系的に説明されていて、改めて納得。お勧めの1冊。

9)「男のガーデニング入門」
柳生真吾 著/角川書店

「酒を飲む、新聞を読む。それもガーデニング」「眺めるだけでもガーデニング」という気軽さが、植物に触れる敷居を下げてくれる。

10)「歯科医院経営 困ったときの答えは一つ!」 
千田利幸 著/デンタルダイヤモンド社

うまくいっている歯科医院のケーススタディがもりだくさん。またなぜうまくいっているのか、そのメカニズムも紹介されていて充実の1冊。

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