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2006年8月 1日 (火)

Vol.88 『相談をしにきた人の言葉は、疑って聞け』

  経営者が集まって意見交換をする会に参加したときのこと。その会の趣旨として、「相談者の悩みについて、各自がそれぞれの視点からアイデアを出して、その悩みの解決に協力してあげよう」というものでした。私は通常、コンサルティングやセミナー講師の立場でそういう相談を受けることが多いのですが、そのときは一参加者として、その場にいました。相談者が悩みを告白すると、参加者が矢継ぎ早にいろいろな角度から意見を述べ合います。そのとき私は2つのことを思いました。

1つは「みんな、どんどんアイデアを出していって、頭がいいなあ」という賞賛の気持ち。もう1つは、「相談者からのたったあれだけの限られた情報から、果たして的確なアドバイスができるものなんだろうか?もっと質問が必要では?」という疑問でした。

たとえば、ある飲食店の社長が「今の3倍の価格のコースメニューをつくりたいが、どんな中身の、どのようなシーンにおけるメニューをつくればいいだろうか?」という相談をしました。彼の言葉を間に受けると、そのメニューの内容のアイデアを出して欲しい、と言っているように聞こえます。ところが、もう少し質問をしていくと本当は別のところにカギがありました。それは、「それを推し進めた結果、待ち受けているであろう漠然とした不安感」が行動を躊躇させていた、ということです。

そこで、何が行動を躊躇させているのかを質問していったところ、3つ原因がありました。それは、「ちゃんとお客さんが期待している要求を聞き取れるだろうか?」というヒアリング力の不安、「いただいた要求にちゃんと応えられるのだろうか?」という対応力への不安、そして「そのメニューを実際にお出ししたときに不満を訴えられたらどう対処するか?」というフォローの仕方への不安でした。

しかし、何が不安なのかがはっきりすれば、それぞれについて具体的に対処を打ちやすくなります。そして不安を解消する道筋がイメージできれば、あとは躊躇なく、前向きなアイデアを出していけます。つまり、この人にとっての真の相談内容は「3倍のコースメニューをつくる上での3つの不安への打開策のアイデアが欲しい」だったのです。単に言葉だけを聞くのではなく、本質的に何に困っているのかを想像して聞くことが大切だと改めて気づかされました。

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