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2006年7月 1日 (土)

Vol.87 『形にとらわれる前に、中身を磨き上げよう』

今の七十歳以上の日本人で、英語をうまく話せる人はあまり多くない。海外へ行った彼らの多くは仕方なく、にこやかに微笑んでいました。だから欧米の人たちは、「日本人は何か胸の底に深い物を持っているらしい」と思ってくれました。ところが最近の若い人たちは、内容は何もないのに英語はペラペラしゃべるから、日本人の中身が空っぽであることがすっかりバレてしまいました。内容がないのに英語だけは上手いという人間は、日本のイメージを傷つけ、深い内容を持ちながら英語は話せないという大勢の日本人を、無邪気ながら冒とくしているのです。「内容ナシ英語ペラペラ」は海外では黙っていて欲しいくらいです。

( 『国家の品格』 藤原正彦 著  新潮新書  P.42より引用)

未知の分野に挑戦するとき、私たちはなぜか「それまで当たり前にわかっていることを見失う」ことがあります。たとえば数年前、「IT化」が騒がれ、どのオフィスにもパソコンが導入され、業務用のソフトウェアや社内LANの導入が持ちはやされたころ、中小企業の間でこんな会話をよく耳にしました。

「うちの会社もIT化だ。ソフト会社に委託して業務効率のあがるシステムを導入しよう」

しかし、ちょっと待ってください。もともと社内の情報共有ができておらず、報告・連絡・相談をしようという社風のないところに、システムを導入したって機能するわけがないですよね。もともとそれをやっていた人たちがよりスムーズに行なうために導入するのが本質です。それなのに、彼らはITをまるで「それを導入したら、なぜかすべての問題が解決する魔法の杖」みたいに錯角していたのです。

同じことが英会話にも言えます。「英語が話せれば、外国人と自由にコミュニケーションできる」と錯覚し、決意します。「英語をしゃべれるように、英会話学校で勉強しよう」と。

ちょっと待ってください。英語で何をしたいのか、自分でわかっていますか?どこで、誰に、何を話したいのですか?「いや~、海外旅行のときに、お店やレストランで困らないくらいになりたいんです」それなら、お店で使うきまり文句を4~5個、暗記すればお終いでは?

私はまさにこのことで苦い思い出があります。以前、在日外国人が集まるビジネスマンの交流会に参加し、たどたどしい英語で会話を試みました。そのとき、気がつきました。「いかに英語で上手に話すか、にとらわれ、中身のないことをペラペラしゃべっている」と。まさに、形(英語を話す)にとらわれて、肝心の中身に意識が向いていなかったのです。日本人同士だったら「会話の中身が大切」なのは当たり前ですが、相手が外国人になると、なぜか「言葉が通じるだけで、相手も会話につきあってくれる」と錯覚しがちです。しかし、本質は会話の中身が面白いからつきあってくれるのです。本質をきちんと見つめたいものです。

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