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2006年6月 1日 (木)

Vol.86 『敷居の高さを克服するコツ、クイズをつくれ』

すべての恋愛が、ひと目惚れからはじまるとは限らない。とくに気にかけていなかった人が、ふとしたきっかけでかけがえのない人に変わることもある。美術の世界も同じだ。何気なく眺めていた1枚の絵。しかし、その裏側には謎に満ち溢れた不思議な世界が広がっている。作品に込められた画家の思い、駆使された驚くべきテクニック、名作が生まれた時代背景・・・・・・。そんなアートの秘密に触れた瞬間、作品はまた新鮮な輝きをもって私たちを魅了する。<中略>本書は、そんな番組のエッセンスを取り出し、美の秘密を満載している。読み進めていくなかで、それぞれの「特別な1枚」を見つけていただけたら、と思う。

( 『迷宮美術館』 NHK「迷宮美術館」制作チーム 著河出書房新社 P.2より引用)

 今月の読書レポートは、少し趣向を変えて、本の内容から得た気づきではなく、本の構成から得た気づきをシェアします。

この本は、ダヴィンチやピカソ、ダリ、北斎など、世界に名の知れた芸術家の作品をとりあげ、2~3ページでその背景にある秘話を紹介した本です。私はもともと芸術分野の造詣があまりにも浅いため、とっかかりとしての情報収集をしたいと思っていました。

ところが、どの専門書を読んでも、とにかく堅苦しくて楽しめない。学生時代の教科書もそうでした。正しいことが書いてあるのだろうけど、楽しくない。そんな中、地下鉄の広告チラシでこの本が紹介されているのを見て、ピンときて即注文しました。

ここでは30以上の作品について、時代背景、作家の性格や女性遍歴、画法や作品に秘められたストーリーまで、いろいろな切り口で紹介されています。この本を読んでいて、芸術に疎い私でも、ほんの1時間後には興味を持って作品を見ようという意欲と基礎知識を持てました。さて、なぜだと思いますか?それは、この各作品の冒頭に、クイズがあるからです。たとえば、「『東海道五十三次』は、なぜ書き直しを命じられたのか?」とある。すると、それまで『東海道五十三次』には何の関心もなかった人でも、「なぜだろう?」と興味を喚起されます。

つまり、教えたい情報を与える前に、質問を投げかけておくこと。それは、相手に「その情報をキャッチする器をあらかじめ用意させる」作業にほかなりません。それを平たく言うとクイズをつくって問いかけること。そのクイズが相手の頭に「?」を浮かばせるユニークな視点のものであれば、その後の相手の情報吸収力はほぼ自動的に高まっていきます。

ここに、「人に関心を抱かせるコツ」があります。つまり、先に「?」を与える。すると、次に「!」を引き起こせる。これを反対にして、いきなり説明からはいるから小難しくなるのです。人に教えるとき、クイズを利用してみてはいかがですか?

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