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2005年1月 1日 (土)

Vol.69 『理屈通りにはいかないこともある。』

 以前、あるコンサルタントが顧問先の社長と話しをしている場に立ち会ったときのこと。その社長は自社の悩みを打ち明けていました。そしてコンサルタントはその会社の問題点について語り始めました。「ここが良くない。あそこが問題だ。解決するにはこうすべきなんだ」と、端で聞いていて理屈のあった、ある意味もっともな意見を述べていました。客観的に考えれば、たしかにそれを実行すれば、解決していくように見えます。

しかし、そのクライアントの表情に徐々にイライラ感が出ていることに気がつきました。コンサルタントはそれに気づかず、いつまでも自論を一方的に熱っぽく語っていました。そして、クライアントは途中で話しを打ち切り、その後その相談をコンサルタントにもちかけることはありませんでした。それは「この人に言っても、分かってくれない」というふうに見限ったように私には見えました。

このようなやり取りは日常的によく見かけます。ある程度の経験と知識がある人ほど、上記のコンサルタントのような自論熱弁タイプとなり、相手に敬遠されていたりします。私は今でこそ、このやり取りの中で何が問題であったのかが分かります。それは、この人は「相手のもっている情報を充分に共有しないうちから、提案やアドバイスに入っている」ことです。

クライアントは必ずしも全ての情報を言葉で伝えられるとは限りません。それを自分でももどかしく感じながら、悩んでいたりします。よって相談に乗る人は、それをちゃんと聞き出さない限り、いくらもっともらしい正論を並べても、相手の心には響かないのです。それどころか、前述のコンサルタントのケースのように怒りを買うことすらあります。私はこのことに気づいて以来、提案をするときに1つ言葉を付け加えるようにしました。
「すでに○○さんもお気づきかも知れませんが、~という対策も考えられますよね。そのアイデアについてはどう思いますか?」
私が提案するまでもなく、相手がすでに考えついているかも知れません。そこで、それを承知の上で提案している、というニュアンスを伝えるのです。すると、気持ちよく受け入れられる場合もあります。理屈通りにはいかないこともあることを理解した上で提案すると、相手も受け止めやすくなるようです。

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