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2002年12月 1日 (日)

Vol.44 『1回の人生で、何回ものライフサイクルを楽しむ。』

二つや三つのキャリアをもち、それぞれでSカーブを描けるようなことをしている人はたくさんいる。典型的なのは女性だ。女性は四十歳台前半で生殖か納期を終えると、新しい活動に取り組む。同様に、運動選手など、肉体的条件に強く依存する仕事をした人は、コーチ、執筆活動など、より知的な能力を要求される仕事に就きたがる。新しいキャリアで成功するには二つの要件を満たす必要がある。一つはタイミングである。前のサイクルの秋に種をまいておかなければならない、ということだ。もう一つの要件は、その新しい活動が前の活動と十分に差別化されていて、新しい「種」を生み出すようなものでなくてはならない、ということだ。

(『「Sカーブ」が不確実性を克服する』 セオドア・モディス 著 
東急エージェンシーP.227より引用 )

 つい、2年前には絶好調だった経営者が久しぶりに会ってみると別人のように暗くなっていることがあります。業績も当時よりも桁外れに悪いようです。それは、1つには事業内容が時代の変化に取り残されたからかも知れません。しかし、もう1つ理由があるような気がします。それは、安心して停滞していたために、今やっていることが自分の中で陳腐化した、ということです。時代から取り残され、しかも「自分の中で終わっている」ことをやっていては、活力が出るはずもありませんよね。
 この本を読みながら、私が尊敬し、いつもお手本にしている堀貞一郎先生のことを思い出しました。堀先生は、これまでの73年間の生涯で、いくつもの全く異なる世界で卓越した成果を出してこられました。かつてラジオや映画全盛の時代にテレビを日本に導入し、ある時は交通事故減少のために日本人なら誰でも知っている交通標語をつくり、またある時は大阪万博を大成功させ、そして最近では東京ディズニーランドの誘致とプロデューサーをされました。1人の人間が「一生涯かけて経験できれば最高」と思える程の偉業を、一生のうちに何回も経験されているのです。そして、私がさらにスゴイと思うのは、導入期から成長期に入った途端にスパっと身を引いて全く違う活動にチャレンジしてしまうことです。普通なら、成長期から成熟期に至り、衰退期に入る直前までは身を引けないじゃないですか。

 世の中にはこのように、1つの分野だけではなく、いくつもの世界を渡り歩きながら一生を満喫する人がいます。ある分野で成功したら、そこに安住したい人が多い中で、彼らはなぜ、そんなに潔く身を引けるのでしょうか?そこで、この本を読んだとき、ピンと来ました。つまり、その世界における自分のライフサイクルを考えているのです。初めから「辞めるとき」をイメージしてスタートしていて、「○○の時点で私の役目は終わりだ」と決めているのです。「これが一生続く」と思うと、ダラダラやってしまうのですね。私も最近は、新しい取り組みをするときは、常に終着点を決めてから始めることを意識しています。

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