« Vol.15 『頑張らなくても済む"しくみ"をつくる。』 | トップページ | Vol.16 『良いと思ったら、まずやってみる。』 »

2000年7月 1日 (土)

Vol.15 『時を告げるのではなく、時計をつくる。』

シティコープの歴代の経営者は、チェースの経営者とは違って、目標を達成する手段として主に組織の力に頼った(つまり、時計をつくった)。スティルマンは、後継者の育成と組織構造の強化に焦点を絞っている。バンダーリップは「わたしが見るところ、制約条件のひとつに経営陣の質がある」と語り、組織の設計に力を注いで、経営幹部研修制度をつくった。ジョージ・ムーアは何よりもまず、「シティコープを組織力のある機関にする」ことに努力し、人材の採用、研修、昇進の制度をその中心に据えた。「この制度によって優秀な人材を育てていかなければ、われわれの目標は何ひとつ達成できないだろう」と語っている。これに対してチェースは、マーケティング戦略と商品戦略に主に頼ってきた。つまり、時計をつくる戦略ではなく、時を告げる人に頼ったわけだ。

( 『ビジョナリーカンパニー』 ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス 山岡洋一 訳
日経BP出版センター p.180 より引用)

 この本は、ビジョナリーカンパニーを「ビジョンを持っていて、未来志向・先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業」と定義づけし、3M、ソニー、ウォルトディズニーなどのビジョナリーカンパニーが比較対象企業(世間的には成功の部類に入るが、上記定義に当てはまらない企業)と何が違うのか、を追求したものです。その中で、ビジョナリーカンパニーとして成功するためのポイントを深く掘り下げて研究しており、とても興味深い本です。

 そのポイントの1つが表題のキーワードです。ここでは組織づくりを中心とした「しくみづくり」の重要性を説いています。つまり、天才的なカリスマ経営者があれもこれもやっていくのではなく、安心して任せられる組織をつくり、経営者はひたすら理念・ビジョンを語りつづけることが、長期的には大きな発展をもたらすといいます。

 これは、本で取り上げられている大企業だけではなく、中小企業においてもあてはまるような気がします。多くの中小・小規模企業の経営者はトップダウンによる「指示出し経営」になりがちです。それは、1から立ち上げた経営者が一番大変さも苦労も味わっていますし、能力も最も高いはずですので、普通に考えたらそうなりますよね。

 ただ、今のように世の中の変化のスピードが速い時代に、そのやり方では経営者の負担が倍増してしまい、「まあ、そのうちやろう」となって、結果的にスピード負けする恐れはないでしょうか?経営者が次のことを考えている間に、社員が今やるべきことを自発的に進めていてくれる組織があったら、こんなありがたいことはありませんね。

|

« Vol.15 『頑張らなくても済む"しくみ"をつくる。』 | トップページ | Vol.16 『良いと思ったら、まずやってみる。』 »

今月のワニレポ(今月の一冊から)」カテゴリの記事