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2000年7月

2000年7月 1日 (土)

Vol.15 『時を告げるのではなく、時計をつくる。』

シティコープの歴代の経営者は、チェースの経営者とは違って、目標を達成する手段として主に組織の力に頼った(つまり、時計をつくった)。スティルマンは、後継者の育成と組織構造の強化に焦点を絞っている。バンダーリップは「わたしが見るところ、制約条件のひとつに経営陣の質がある」と語り、組織の設計に力を注いで、経営幹部研修制度をつくった。ジョージ・ムーアは何よりもまず、「シティコープを組織力のある機関にする」ことに努力し、人材の採用、研修、昇進の制度をその中心に据えた。「この制度によって優秀な人材を育てていかなければ、われわれの目標は何ひとつ達成できないだろう」と語っている。これに対してチェースは、マーケティング戦略と商品戦略に主に頼ってきた。つまり、時計をつくる戦略ではなく、時を告げる人に頼ったわけだ。

( 『ビジョナリーカンパニー』 ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス 山岡洋一 訳
日経BP出版センター p.180 より引用)

 この本は、ビジョナリーカンパニーを「ビジョンを持っていて、未来志向・先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業」と定義づけし、3M、ソニー、ウォルトディズニーなどのビジョナリーカンパニーが比較対象企業(世間的には成功の部類に入るが、上記定義に当てはまらない企業)と何が違うのか、を追求したものです。その中で、ビジョナリーカンパニーとして成功するためのポイントを深く掘り下げて研究しており、とても興味深い本です。

 そのポイントの1つが表題のキーワードです。ここでは組織づくりを中心とした「しくみづくり」の重要性を説いています。つまり、天才的なカリスマ経営者があれもこれもやっていくのではなく、安心して任せられる組織をつくり、経営者はひたすら理念・ビジョンを語りつづけることが、長期的には大きな発展をもたらすといいます。

 これは、本で取り上げられている大企業だけではなく、中小企業においてもあてはまるような気がします。多くの中小・小規模企業の経営者はトップダウンによる「指示出し経営」になりがちです。それは、1から立ち上げた経営者が一番大変さも苦労も味わっていますし、能力も最も高いはずですので、普通に考えたらそうなりますよね。

 ただ、今のように世の中の変化のスピードが速い時代に、そのやり方では経営者の負担が倍増してしまい、「まあ、そのうちやろう」となって、結果的にスピード負けする恐れはないでしょうか?経営者が次のことを考えている間に、社員が今やるべきことを自発的に進めていてくれる組織があったら、こんなありがたいことはありませんね。

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Vol.15 『頑張らなくても済む"しくみ"をつくる。』

 仕事の仕方について、サラリーマン時代と独立してからとを比較して、自分の中で大きく変わったことの1つに「しくみづくり」を常に意識するようになったことがあります。サラリーマン時代は、上司や周りに依存する心があったせいか、はたまた視野が狭かったせいか、良く言えば「目の前の仕事に全力投球」悪く言えば「目先のことに一喜一憂」でした。一言で言えば「余裕がない中で頑張っている」状態でした。

  独立してからは「頼れるものは自分だけ」という緊迫した環境のおかげで、目先のことだけでなく、常に半年先・数年先を視野に入れて考えるようになりました。とは言うものの、独立したからといって、突然大幅に能力が高くなるというものではありません。そこで、私は、「余裕を保ちつつも、目標を実現するためには?」をいつも考えていました。

 その結果、私が今まで実践していることを少しご紹介します。

1) 理念・中長期ビジョン・単年度目標を紙に書いた(正月に作成し、GWに見直す)。
2) 過去・今月・来月の自分の動きをパっとみて分かるようスケジュール帳の書き方をビジュアル化して、理想と現実のギャップをわかりやすくした。
3) さらに、「どういうことにどれだけ時間を使うと最も理想的か」を予め設定し、それに近づける方針でスケジューリングを行った。(やりたいことを時間軸で測定する)
4) また、「自分が勉強・研究したいこと」にいくら使うべきかを予め設定し、それに準じて投資した。(やりたいことをお金軸で測定する)
5) 周りの信頼できる方々に、上記1)をお話しし、「やらざるを得ない環境」を作った。
6) 仕事机の前の壁に、「気づいたことや学んだこと」をポストイットにメモして貼り、ふっと一息ついたときに目に触れさせる仕事環境を作った。
7) 無理に頑張りすぎて体を壊すことを避けるため、「戦略的に」休みをスケジューリングした。(結果としての休みではなく、予め心身を休ませる日を確保する)

 これらは手間のかかることですし、試行錯誤でやっていましたので、慣れるまでは少し大変でした。しかし、1つ1つはそれほど時間を取ることではありません。何より、「自分がどう動けば良いかの根拠づくり」ができ、その上で迷わず全力投球できる環境ができたことで、精神的にはかなり楽になったことを実感しています。

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