2025年6月10日 (火)

Vol.314『なぜあの人は継続できるのか?』

「あの人って、なんであんなに続けられるんだろう?」
たとえば、毎朝ランニングしている友人。英語の勉強を何年も続けている同僚。
あるいは、自分のビジネスをコツコツと10年以上育ててきた知人。
そういう「継続できる人」を見ると、尊敬と同時に、ちょっとした疑問も湧きませんか?
今回は、「継続力」の正体について、和仁流の視点でひも解いてみます。

継続力というのは、「性格」×「思想」×「スキル」の3つの掛け算で決まります。
このうち、「性格」は、たとえば真面目とか、飽きっぽくないといった、生まれつきの傾向です。でもこれは、変えようと思ってもなかなか難しい。でも大丈夫です。性格がどうであれ、「思想」と「スキル」は後天的に鍛えることができます。つまり、車の性能はそのままでも、ナビを工夫したり、運転技術を磨いたりすれば、目的地にはちゃんとたどり着けるんです。

じゃあ、継続力を高める「思想」って、どんな考え方でしょうか?たとえば、完璧を目指さない「脱★完璧主義」というのも一つ。三日坊主になる人は、初日から100点を取りにいこうとして、挫折してしまうケースが多い。逆に続けられる人は、「今日は50点でもOK」「とにかく毎日触れることが大事」と、自分に優しい思想を持っていたりします。
もう一つは「1アクション3ゴール」で、「これをやることで、どんな角度の異なる3つのゴールを達成できるか?」という問いをもつこと。たとえば、ランニングについて、(1)若々しい健康な身体を得られる、(2)出張先で走りながら街の風景を30分で味わえる、(3)ラン仲間との交流を楽しめる、というように得るものが多いほど行動し継続しやすくなります。

そして、思想と同じく大事なのが「スキル」。継続にも、ちゃんと技術があります。
その一つとして、やったことを「見える化」して達成感を味わえるようにするのも効果的です。カレンダーにチェックを入れたり、アプリで記録したり。これが小さな達成感につながって、続けたくなる仕組みになります。結局、継続力は「やる気」よりも「やる気が出る仕組み」がカギ。大切なのは、意志が強いかどうかではなく、「意志が弱くても続けられるように整えておく」こと。そのためには、ちょっとした思想の転換と、スキルの習得がカギになるのです。さて、あなたの「これ、続けられたらいいのにな」と思うことは何ですか?
そのために、どんな「思想」と「スキル」があれば良いか、を考えてみてはどうでしょうか。

 

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2025年5月25日 (日)

Vol.313『人生100年、長寿化時代に自社がもたらす価値を考える。』

事例1 クライアントの「100年人生」をプランニングするメリルリンチ

金融サービス業は、長寿化のビジネスチャンスに最初期に気づいた業界の1つだ。
ユーザーが長生きするようになり、延びた寿命分の生活を支える資産が必要となったためだ。残念なことだが、50歳以上の過半数が「老後の生活を支える資金が足りない」と回答している。こうした経済的不安は大きな国民的課題であり、今後、大きな財政課題にならないよう、国民に行動の変化を呼びかける必要がある。業界としても、クライアントが長寿に備える意識を持つようになれば、優先順位の判断や資産通用のニーズが生まれ、事業成長の強い牽引力となるだろう。

 

(『超長寿化時代の市場地図
スーザン・ウィルナー・ゴールデン 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン 96頁より引用)

人生100年時代になると、60歳を超えてなお10年、20年と社会で活躍する人が増えていくでしょう。と言うことは「セカンドキャリアに入った人」向けと「それを見据える人」向けに「自社がどんなサービスを提供できるのか」を考え、準備することが重要です。そこで、わたしも「キャッシュフローコーチ・メソッドがどのように彼らに価値提供できるか」を考えてみました。みなさんが考える際のヒントになれば幸いです。

1つの案は「言語化力トレーニング」です。我々は言葉や数字、図解などを使って、クライアントの思考整理をしています。その際にカギとなるのが「言語化力」です。つまり、コンサルタントや経営者、リーダー向けに、当たり前のように発揮してきた「言語化力」が、これからセカンドキャリアを迎える広い層にとって価値をもたらすと予想しています。特に、蓄積した経験値を価値あるものとして世の中に発揮するには、それを言語化することが必要です。例えば、「その人がいるとなぜか職場の雰囲気が良くなる効果」を発揮している人が、その価値を言語化できなければそのまま忘れ去られてしまうでしょう。一方で、それが「場づくり力の高さ」と言語化できれば、周りがその価値に気づきやすくなります。さらには「職場が活性化する場づくり力の極意10箇条」を言語化できれば、それを教わりたい人や、職場に伝えたいリーダーが見つかるかも知れません。

このように、キャッシュフローコーチの育成において肝となる「言語化力」は、今後ますます重要度を増すと考えています。なぜなら、様々な経験を積んだ人が、その経験値や専門性の価値をアピールしたり、後任者に継承するときに、言葉で伝える力が必須だからです。
いくら素晴らしい技術や知見があっても、それを人に伝授する力がないのは大きな機会損失です。それは、彼らが言葉に落とし込む作業を避けてきたからではないでしょうか。
そのあたりに「言語化力トレーニング」の可能性を感じて、注目している今日この頃です。

 

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2025年5月10日 (土)

Vol.313『「寄り添う」の解像度を上げてみる。』

「寄り添う」。この言葉を、普段どのような意味で使っているでしょうか?
以前、わたしの養成塾の参加者(コンサルタント)から、次の相談を受けました。
「大手の有名コンサルタントと差別化したいのですが、インパクトのある表現ができません。私の強みは、大手にはできない『徹底的に寄り添う』ことだと思っています」
この言葉を聞いたとき、わたしはかすかな違和感を覚えました。なぜなら、「大手のコンサルタントでも、クライアントに寄り添っている人はいる」と思ったからです。
このままでは「自分のほうが寄り添っている」「いや、向こうのほうがもっと寄り添っている」という無意味な水掛け論になりかねません。そこで「あなたにとって『寄り添う』とは、具体的にどういうことですか?」と尋ねました。彼の答えはこうでした。
「『寄り添う』とは、クライアントと1対多ではなく、1対1で双方向に関わることです」

ここでようやく彼の意図が理解できました。つまり、大手のコンサルタントは、同時に多くのクライアントを相手にするため、一人ひとりの個別相談に乗らずに“全体最適のアドバイス”を提供しているのに対して、彼は“一人ひとりの課題にフォーカス”して関われることを強みとしている、とのこと。しかし、それを聞いてもわたしはなお違和感を覚えました。なぜなら、大手のコンサルタントでも1対1の個別コンサルを提供している人はいるからです。
そこでわたしは、こう伝えました。
「ちなみに、わたし(和仁)にとって『寄り添う』とは、『相手の背景を理解した上で、相手起点で相談に乗る』ことです。大御所的なコンサルタントは、経験値が高く伝えたい情報が多いが故に、クライアントの話を最後までじっくり聞かず『ああ、分かった。つまりこういうことですね』と先回りして答えを出してしまうことがあります。このとき、相手の背景情報を十分に把握する前に(誰にも当てはまる)正解を教える“先生型”のコンサルになりがちです。一方、もしあなたがクライアントの背景情報を丁寧に聞き取り、理解した上で、相手起点で思考を整理しながら相談に乗るのであれば、それは差別化ポイントになります」

ここまで話すと、彼は「自分が伝えたかったのは、まさにそれでした!」と腑に落ちた様子でした。このやり取りを通じて、改めて実感したことがあります。普段何気なく使っている言葉こそ、もう一段階解像度を上げてみることが大切です。そうすることで、より的確に自分の強みを伝えられるようになります。あなたの「寄り添う」は、どのような意味でしょうか?

 

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«Vol.312『個別の打ち手をつなげて独自のストーリーをつくる。』